新・仮面ライダー考証学 59

仮面ライダー・クロニクルズ(7)

前回に引き続き『仮面ライダー』の継続企画書から引用する。

仮面ライダー10月以降企画案

〈この番組の魅力は〉
スピードとアクションと怪奇と笑いであります。今後の視聴率アップの方策
の第一は、まず基本的には今迄の制作方針を変えずにそのまま貫くことが
必要でありますが、その中での変化のつけ方を考えて行きたいと思いま
す。
スピードについての今後の問題は実際上オートバイ撮影の危険度を考慮し
つつ尚、これをよりエスカレートさせて行かねばなりません。
主演佐々木剛の運転技術の点からも本人搭乗による撮影にはこだわら
ず、スタントマンの起用を主とします。
これとても危険度の問題は同様に考慮しなくてはなりませんが、その対策と
して、すでに一部試みたミニチュア特撮を部分使用して行く予定でありま
す。
アクションの面について擬斗がいつも同じであるとの批判もありますが、こ
れも主人公側の得意技という面で馴染みの為にも同じであることが基本的
に必要であります。
ただ、今後色あいを変えるための工夫として跳躍はライダーのみの技とし、
敵方怪人についてはその特性、得意技、体型の面から、その怪人独特の
攻撃法、守備法を考案し、それを主体とした擬斗を行えば(例えばヒトデライ
ラの全身十字手裏剣のようになって体当たりする攻撃などの如く)自らスタ
イルの違った印象を与えることが出来ると思います。
怪奇性については、暗い、残酷である等々の批判もありましたが、シリーズ
の特徴として、この面は必要なものであり、事実上その効果を発揮して来た
と思います。この種の怪奇というものは好奇、不思議なもの、恐いもの見た
さ、という面があり、それが視聴者を惹きつけるものと判断されます。
その不思議なものという観点から次第に怪奇の暗さの面を切り換え、怪人
の恐怖の中におかしみや愛嬌を含ませる作業を行い、明るくして来ました
が、今後もこの方針で進みたいと思います。
その他スケールの面で、時には階級差をもつ複数の怪人を登場させて、子
分がやられても親分がいるといった変化をつける等、今後の発展に気を配
れば、視聴率的にも十分期待出来ると信じます。

   画像1

   画像2

   画像3

画像1〜3)は毎日放送による制作第22話「化石男ヒトデンジャー」本編
撮影時の特写スチール。継続企画書の中に記述のある〈ヒトデライラ〉とは
ヒトデンジャーの台本段階での名称である。


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