移行帯底生魚21

ウナギと付いているけどいわゆるウナギとは全く関係ありません。ウミヘビと付いているけど爬虫類のウミヘビとは全く関係ありません。まずは名前に惑わされないでください。ヌタウナギはヌタウナギ綱ヌタウナギ目ヌタウナギ科。図鑑をめくると最初の方に登場しますね。背骨がないかわりに脊索(せきさく)という組織があって原始的な脊椎動物の根源を備えています。顔の先端に開いているのは口ではなく外鼻孔、嗅覚が抜群に優れています。獲物の匂いを嗅ぎつけるとどこからともなく集まってきて弱った魚や死肉に食らいつきます。顎はないけど歯のようなものがあります。エラ孔は六対、ちなみに八対だとムラサキヌタウナギです。体側にはエラ孔と一直線上に粘液腺が並んでいます。これが厄介モノで刺激を受けると大量のヌタを放出して身を守ります。場合によっては他の魚を窒息させてしまいます。成分はコラーゲンたっぷりなので悪いものではないのですが何せまとわりつくと大変、乾くと石鹸でもなかなか取れないそうです。皮は強く鞄の材料に使われることもあるようです。英語のHagfishはなぜか鬼婆(おにばば)の意味。次にスソウミヘビ。ややこしいけどこちらはウナギ目なんです。ウビヘビ科は三百種近くが知られています。尾びれはなく普段は泥の中から顔だけ出していることが多いようです。自分は小骨が多くて食用には向かないくせに顎の力が強いので、底引き網で混じって獲れちゃうと商品の魚にかみつくため漁師さんに「この野郎っ」と嫌われています。
1.ヌタウナギ
 Eptatretus burgeri
 60p

2.スソウミヘビ
 Ophichthus urolophus
 61.5p