中深層遊泳魚02

いずれも深海性ツノザメ科の変り種です。稀種といわれているワニグチツノザメの特徴は何といっても長い牙状の歯でしょう。口が完全には閉じないので牙が檻の役目をして捕まえたエサを逃がさずそのまま丸呑みにします。オオメコビトザメは同じ仲間のツラナガコビトザメと小ささを競う間柄で二十数pとサメにしては可愛らしい種類です。ツラナガコビトザメよりは大きな眼の持ち主であり両者とも第一背びれのみにトゲがあります。またこれらはワニグチツノザメともども発光することでも知られ、お腹全体が青緑色にボワーっと光るさまはさぞや幻想的だろうなと思います。オロシザメは背中の中央が盛り上がった独特の姿で一度見たら覚えてしまいます。名前はおろし金のような先端が三つに分かれざらざらしたウロコを持っているところから付けられました。命名者によると最初はタヌキ顔にちなんでオロシタヌキとかダイコンオロシザメとかが候補に挙がっていたそうです。ところでこれら深海に棲むサメは生きている時の眼が非常にきれいでエメラルドグリーンに輝いています。これは網膜の裏側にタペータム層というグアニンで作られた銀色の器官があるためで弱い光刺激を増幅して感じ取るための機能が必要だったからなのです。
1.ワニグチツノザメ
 Trigonognathus kabeyai
 37p

2.オロシザメ
 Oxynotus japonicus
 54p

3.オオメコビトザメ
 Squaliolus laticaudus
 26p