中深層遊泳魚40

数百Mの深海は真っ暗ではありません。人間には見えなくてもトワイライトゾーンの住人は薄ぼんやりした世界でお互いの存在を緊張感もって意識し合っているのです。ウスハダカとヒサハダカはいずれもススキハダカ属に属し、昼間は数百Mの深さで息を潜め、夜間表層に上がってきます。科名のMyctophidaeは正面から見たときの顔かたちから蛇(ophis)の鼻(mykter)が由来になっています。一方のカゴマトウダイは口を伸縮させることができ小さな魚や甲殻類を一瞬で吸い込んでいると考えられます。英名はRosy dory、バラ色のマトウダイという意味です。お腹の真ん中に鋭いトゲのある硬い盾状板(たてじょういた、じゅんじょうばん)が並んでいるのもバラのトゲを連想させますね。青い光は百Mの深さまでに表層の10%が届きますが赤い光は10兆分の2%しか届かないと言われています。つまり黒っぽいハダカイワシの仲間や赤っぽいカゴマトウダイは敵に見つかりづらい保護色になっています。だけど自分は相手をよく見たいから大きな眼を見開いているのがこの深さの住人の特徴でしょう。
1.ウスハダカ
 Myctophum orientale
 7p

2.ヒサハダカ
 Myctophum obtusirostre
 9p

3.カゴマトウダイ
 Cyttopsis rosea
 16p