中深層遊泳魚45

深海性というより五百Mくらいの深みまで平気で潜るサメたちです。マオナガ(真尾長)は表層で小魚を追いかけていますが自慢の武器がこの長い尾びれです。多くのサメの尾びれ根元は断面が円形ですがオナガザメの仲間は小判型で付け根上部の凹みも深いので折り曲げやすくなっています。そして上半分(上葉)は先端まで骨が通っているので鞭のように振り回せます。獲物の魚をロックオンしたらこの尾びれの中央部を相手の胴体めがけて叩きつけます。瞬時です。そのパワー、スピード、コントロールは半端じゃありません。見たわけじゃないんですが、延縄(はえなわ)でこのマオナガが釣れた時、釣針が口ではなく尾びれ中央に刺さって上がってくるところから食事の光景がそう考えられています。水面を叩いて巨体全体を空中にジャンプさせるブリーチングも見せてくれる筋力は恐るべしです。眼も大きく視力も優れています。ハチワレ(八割)はマオナガの兄弟で同じネズミザメ目オナガザメ科に属します。日周鉛直移動をするようで英語名のBigeye Thresherに偽りなく大きな眼、というより縦長の眼を持っています。ハチワレの名はおでこから胸びれの根元に伸びる溝が上から見ると八の字に見えるからなんですが、検索すると猫ちゃんの画像がいっぱい出てきますね。口周りから鼻すじのラインが白くて顔全体の黒との境い目が八の字に見えるからなのでしょう、カワイイです。…余談でした。学名のAlopiasはギリシャ語のキツネ(Alopex)が語源です。尻尾の長いところからですね。オナガザメ属はあと小ぶりのニタリ(A. pelagicus)が知られています。いずれも成熟期間が長いのに漁獲されたりスポーツフィッシングなどの的になって個体数はかなり減っているそうです。
1.マオナガ
 Alopias vulpinus
 570p

2.ハチワレ
 Alopias superciliosus
 480p