上部漸深層遊泳魚16

ホウキボシエソ科の仲間にはアゴの膜がありません。英語でもloosejawfishと呼ばれ真ん中に一本の腱が通っているだけです。まぁ彼らにすればそれで十分なのでしょう。とやかく言いますまい。もう一つの特徴は巧妙なヘッドライトを使って獲物を探す技を持っていることです。水の中では青い光をよく通します。だから交信のためにもカモフラージュのためにも生物発光としては青い光が主流になっています。しかし深海生物の体は赤い色が多いのでエサを獲る立場からすると青いサーチライトでは赤い生物が見えません。そこで彼らは発光器に赤色化フィルターをつけ、眼も赤色を感じやすいように適応を遂げました。食べられる側にすれば近づいてくる赤いライトを認識することができないので逃げ遅れてしまいます。実に巧妙ですね。眼の下の大きな発光器はそのためです。さて個別の特徴ですがホウキボシエソは胸びれとヒゲがない、オオクチホシエソは胸びれはあるけどヒゲがない、そして体の発光器もない、クマドリホシエソは胸びれもヒゲも発光器もあります。そして顔にも隈(くま)取りしたような発光斑があります。
1.ホウキボシエソ
 Photostomias guernei
 17p

2.オオクチホシエソ
 Malacosteus niger
 22p

3.クマドリホシエソ
 Aristomias polydactylus
 20p