深海底帯底生魚
/生物07

一見何の変哲もない海綿と貝、そばを通ってもそのまま通り過ぎてしまいそうです。ところが見た目と違って両者は不可思議極まりない生き物だったんです。クセノフィオフォラ(Xenophyophore)は海綿ではなく有孔虫の仲間と言われています。驚くべきはこの大きさにして単細胞であること。核膜で包まれた1つ以上の核と1つの細胞膜で包まれた細胞質を持つ真核単細胞生物(プロティスタ)という分類になるそうです。厚みが1o程度と薄いので構造自体は脆く、底曳きで採取しても粉々になって存在すら分からなくなりますね。数ヶ月に1回、間欠的に体を大きくしているらしく成長速度は速いようです。粘液質を出してエサとなる粒子を捕捉しています。中には20pを超える超巨大な種類もいて、塊り状だったり円盤状、木の枝状、フリル状などなど…色んな形があって五十種くらい知られているそうです。十億〜八億年前の単細胞生物の爆発的進化、あるいは先カンブリア紀と環境が似通っている深海ではこういった古い系統の生き物が細々と生き残っているのかもしれません。さてネオピリナも生きた化石の一例です。カンブリア紀からデボン紀にかけては浅い海で栄えたもののいつしか深い海の底に追いやられてしまいました。見た目はカサガイのようですが単板綱という「複数対の分離した筋肉痕を持つ」グループに分類され三十種前後が見つかっています。ちなみにカサガイは腹足綱で「連続した馬蹄形の筋肉痕を持つ」グループだそうです。難しいですね。ネオピリナの殻は左右対称で脆く、頂点が前方に向いているのが特徴です。ウミユリもそうですが深海は古代生物の避難場所であることを改めて知らしめてくれます。
1.Stannophyllum zonarium
 クセノフィオフォラ(スタノマ科)
 10p

2.Neopilina galatheae
 ネオピリナ
 3.3p














溝腹綱 サンゴウミヒモ、カセミミズ


尾腔綱 ケハダウミヒモ

多板綱 ヒザラガイ類



単板綱 ネオピリナ
- 二枚貝綱 アサリ、カキ
- 掘足綱 ツノガイ類
腹足綱 カサガイ、アワビ、カタツムリ
頭足綱 イカ、タコ

単板綱