超深海底帯底生魚
/生物02

深海の中でも「超」がつく海の最深部、一万Mを超える場所は地球広しといえど海溝などに限られています。それでも生物は健気(けなげ)に生きています。最も深いマリアナ海溝チャレンジャー海淵は一万九百M、さすがに魚の類いは進出できずヨコエビの仲間が定着に成功しました。カイコウオオソコエビは端脚目フトヒゲソコエビ科に属し、イセエビやクルマエビのようなお馴染みの十脚目とは分類が異なります。当然眼は不要です。体内には脂肪でしょうか、黄色っぽい液体で満たされているそうで地上に引き上げると溶けて流れ出てしまいます。北西太平洋にあるいくつかの海溝から見つかっていてちょっとずつ形態が違うらしく(Hirondellea属は七種)、それぞれの井戸の底で独自の進化を遂げているようです。また最近の研究では体の中に植物を分解する酵素を持っていることが分かったそうです。エエッ超深海で植物?…にわかには信じられませんね。流木が海中で分解され貧困な超深海底に届いた繊維質でさえ分解してしまう貪欲さを身につけた巧さ、人知を超えていますね。「海溝の生きもの、木を喰らう」いやはやまいりました。ナマコも超深海で成功した生き物です。センジュナマコの突起がなくなったような体型のクマナマコ君、六千五百M辺りを境にセンジュナマコより深い場所(日本海溝や千島海溝)に棲み分けているようです。こちらも体内は液体だらけで丈夫な薄皮の中は見通しのいい構造になっています。本当かどうか和名のクマの由来はテディベアに似ているからとか…ん〜。
1.Elpidia glacialis
 クマナマコ
 5p

2.Hirondellea gigas
 カイコウオオソコエビ
 4.5p