超深海底帯底生魚
/生物04

世界中の海に海溝と呼ばれる「深み」がいくつかありますが特に深いところは西太平洋に集中しています。漆黒の闇、超高水圧、凍てつく冷たさに生きる魚類の特徴は体の後ろが細くなっていることです。他の獲物を追いかけるスピードは必要ありません。海底に落ちてきたエサにありつくためには頭が重く、後ろが軽い方が都合がいいんではないでしょうか。N.kermadecensisはニュージーランドの東、ケルマデック海溝に、H.profundissimusはインドネシアの南、スンダ海溝に棲息しています。日本の近くの超深海魚類ではシンカイクサウオ(Pseudoliparis amblystomopsis千島海溝、日本海溝)とチヒロクサウオ(Pseudoliparis belyaevi日本海溝)がいます。最深記録ではヨミノアシロ(Abyssobrotula galatheaeプエルトリコ海溝、日本海溝、伊豆小笠原海溝)の八三七〇M、とエベレスト山がほとんど沈んでしまう深さから報告されています。次にフタナシホッスガイは六放海綿綱(ろっぽうかいめんこう)というグループに属します。フタの部分がないので「ぐいのみ」の中が覗けます。器の底から円錐状の突起が盛り上がっていて周囲に四つの隔壁がありますね。上から見ると丸に十の字、四部屋に分かれています。針金状の珪糸把束(けいしはそく)を海底に刺してゆらゆらしてます。さらに超深海には想像を絶する生きものが存在します。一九八三年に新しい動物門として報告された胴甲動物門です。総称してコウラムシと呼ばれ数十種見つかっています。壺形の胴部にクチクラ(外皮)の板が数十枚並んでいて前半は二百本以上のトゲがサボテンのように生えています。先端には出し入れできる尖った口が付いています。文章で説明しても全然イメージできません、イラストを見てください。海底の砂粒の間に棲息していて大きさは0.3o程度、肉眼でやっと見える大きさですね。いわゆるメイオベントス(微小底生動物)にくくられる珍生物です。シンカイシワコウラムシはシワコウラムシ科に属し小笠原海溝八千Mで見つかっています。幼生には一対の「ひづめ」があって遊泳していると考えられています。また脱皮した皮が見つかっていることから成体になるまで何度か脱皮を繰り返すとも考えられています。とにかく変なヤツです。
1.Notoliparis kermadecensis
 コンニャクウオ属
 31.5p

2.Holcomycteronus profundissimus
 アシロ目
 30p

3.Hyalonema (Cyliconema) apertum
 フタナシホッスガイ
 41p

4.Pliciloricus hadalis
 シンカイシワコウラムシ
 0.03p(300μ)












海溝