下部漸深底帯底生魚
/生物02

インド洋かいれいフィールドもんじゅチムニー水深二四二二M、これが彼らの住所です。陽炎(かげろう)ゆらめく熱水噴出域にこの個性派住人が所狭しとひしめき合っています。ウロコフネタマガイは比較的最近(二〇〇一年)発見された新種で何といっても足の部分がウロコ状になっていて(俗称スケーリーフット)しかも硫化鉄に覆われているのが最大の特徴です。足を貝殻の中に引っ込めることはできずこの鎧のような防弾チョッキがエビやカニの攻撃から身を守っているとのこと。さらにエラではなく消化管組織の中に共生細菌を持っている共生システムを有しているそうです。何でまたこんな姿を選んだのかと聞きたくなりますが…何とも常識を超えた生き物であります。それに覆いかぶさるように密集しているのがアルビンガイ、この貝もエラに化学合成細菌を共生させていて湧き出す硫化水素をこの細菌が分解して宿主の貝に栄養として供給しているそうです。が、口には歯舌(しぜつ)という器官もあるので普通の栄養摂取もできるようです。貝殻全体に毛がゴワゴワと生えています。余談ですが一般に貝は等角らせんという一定の法則で貝殻が生長し種類別にその巻き方が決まっているそうです。中心から引いた直線と常に同じ角度で交わる性質があり、例えばサザエやオウムガイ(約八十度)、アワビ(約六十度)、ハマグリ(約四十度)、といった具合です。ちなみに約七十三度の角度になると黄金比とかフィボナッチ数列といった規則的な比率と無縁でなくなってきます(そんなベストなプロポーション?を持った貝がいるのかどうかは不明ですが興味のある方は調べてみるのも面白いかも)。話がそれてしまいました。ここに紹介した二種類の巻貝も規則性を調べてみると何かこの姿に合理性が発見されるかもしれません。
1.Crysomallon squamiferum
 ウロコフネタマガイ
 5p

2.Alviniconcha hessleri
 アルビンガイ
 5p













等角らせん