下部漸深底帯底生魚
/生物04

深海生物といえど太陽に依存しなければ生きてはいけません。表層で植物プランクトンが光合成で繁殖し、それを動物プランクトンが食べ、小魚が食べ、糞や死骸が底に沈んで…といういわゆる食物連鎖ですね。ところがここに紹介する生き物は太陽に頼ってなんかいないのです。発見されたときはビッグサプライズでした。栄養源は何と地球からしみ出す硫化水素やメタン、人間にとっては猛毒の物質です。チューブワームとも呼ばれるガラパゴスハオリムシはそのチューブ(棲管)に覆われたソーセージみたいな本体(トロフォソーム)に硫黄酸化バクテリアという細菌を共生させています。エラから取り込んだ海水中の硫黄を分解してできた有機物を栄養に生きているのです。特殊なヘモグロビンのおかげで猛毒もへっちゃらだそうです。ゴカイの仲間にしてはヘンテコな生き物ですよね。それとツーショットでよく見かけるのがユノハナガニ、眼は退化しています。十一種類くらいが知られているそうで地上の水槽でも飼えるタフなカニです。そして二枚貝も群れています。シンカイヒバリガイはムール貝に近縁と言われていますがとても食べる気にはなれません。熱水噴出孔から供給される化学成分に応じてエラに共生させる硫黄酸化バクテリアとメタン酸化バクテリアを使い分けているらしいとのことです。最後にT.cerberusはこの温泉環境に住む数少ない魚類で何気なく顔を出しますが他と比べて地味なルックスのせいかあまり注目は浴びないようです。なので詳しいことはよく分かりません。
1.Riftia pachyptila
 ガラパゴスハオリムシ
 200p

2.Austinograea yunohana
 ユノハナガニ
 5p(甲幅)

3.Bathymodiolus japonicus
 シンカイヒバリガイ
 10p

4.Thermarces cerberus
 ゲンゲ科
 20p












チューブワーム(管の中身)