下部漸深底帯底生魚
/生物05

三百度を超える熱水(ブラックスモーカー)がごうごうと噴き出している環境で茹で上がらないよう微妙な距離を保ちながら彼らは身を寄せ合っています。この一帯は荒涼たる深海底にしては生物の密度が高く、硫化水素を含んだ海水に依存する熱水噴出孔生物群集というソサエティを形成しています。ゴエモンコシオリエビは一亜科一属一種で脱色したような白い色をしています。お腹の毛にバクテリアを養殖していてこれをハサミで掻き取り、口に運んでエサにしています。このバクテリアを増やすために硫化水素が必要なのです。ある意味、命がけですね。チムニー(煙突)にびっしり群がっているのはフクレツノナシオハラエビ。ツノナシオハラエビ属はこれとカイレイツノナシオハラエビ(R.kairei)の二種のみが知られています。いずれも熱水噴出域に固有でフクレツノナシ-は大西洋、カイレイツノナシ-はインド洋に分布しているそうです。このエビの変わっているところは本来の眼が失われている代わりに、背中側に背器官(はいきかん dorsal organ)という特殊な器官を備えていることでしょう。熱水から出る光を感知しているのではといわれています。さて背後にはエイリアンのコロニーみたいな異様な光景が見えます。ポンペイワームというゴカイの仲間で何と!八十度の高温でも生きていられる強靭な体を持っているそうです。地球上で最も高熱に耐えられる生き物とのこと。すごいけどちょっと気持ち悪いですね。
1.Shinkaia crosnieri
 ゴエモンコシオリエビ
 6p(背甲長)

2.Rimicaris exoculata
 フクレツノナシオハラエビ
 6p

3.Alvinella pompejana
 ポンペイワーム
 13p













ブラックスモーカー