下部漸深底帯底生魚
/生物11

深海性のタコはこのような大きなヒレが特徴です。映像で見ると思ったよりふにゃふにゃしててどうも頼りなげです。どちらかというとクラゲっぽい感じ。ヒゲナガダコの仲間はこのヒレをゆっくり羽ばたかせて海底よりちょっと上を泳いでいます。有触毛類(ゆうしょくもうるい)で脚の内側にたくさんの触毛が生えています。ヒゲナガの由来ですね。クリンとした眼が印象的ですが二千Mを超える深さじゃ役にはたってないでしょう。同じ仲間にはこの眼が退化してしまった種類(C.murrayi)もいます。さて何かの上を横切りました。深海には海底に横たわる沈木をすみかにしているちゃっかり者もいます。一九八六年に初めて見つかった新しい棘皮動物でシャリンヒトデというグループです。ヒトデと言いきっていますがよく分かっていない謎めいた種類だそうで管足が放射状ではなく周囲に配置されています。なのでヒトデ綱に入れるべきかシャリンヒトデ綱という新たな分類とすべきか定まってないんだそうです。それにしても沈木という本来海の中に存在しないはずの環境もたくましく利用して生活の場とするしたたかさは脱帽です。他にもサシバゴカイの仲間など多様な生き物が定着しているらしく沈木生物群集という一つのカテゴリーが形成されています。海には光合成生物群集、熱水噴出孔生物群集、冷水湧出帯生物群集、鯨骨生物群集、と集団を作るのに色んな生活環境があります。このウミヒナギクという可愛い名前の住人もいつどこで見つかるか当てにできない沈木を選んでひっそり繁栄を始めているのでしょう。
1.Cirrothauma magna
 ヒゲナガダコ類
 120p

2.Xyloplax medusiformis
 ウミヒナギク
 1p