移行帯底生魚
/生物11

この中で仲間は?と問われれば実はウルトラブンブクとトリノアシなのです。ポッチャリとガリガリ、全然似てませんが棘皮(きょくひ)動物門というところに分類されています。棘皮動物というのはヒトデ、クモヒトデ、ウニ、ナマコ、ウミユリ、の五つの綱(分類によってはシャリンヒトデ綱を入れて六綱)から成ります。基本が五放射(五角形や星形)にあるという自然界では不思議な特徴を持ったグループです。さてウルトラブンブクは一見普通のウニの仲間のように見えますが実はとんでもない異端児で、ブンブクの仲間は本来泥の中を掘り進むので目にすることは無いはずなのです。あの美味しい普通のウニは殻の下が口、てっぺんが肛門なのに対しブンブク類は下の前方に口、後方に肛門があります。ウルトラブンブクはきっと天敵がいないのでしょう、見かけの割に壊れやすい殻なのに堂々と海底に身をさらして歩き回っています。次にトリノアシは深海にしかいないウミユリ綱の一員で約四十本の腕を海底から持上げて流れてくる有機物をこし取っています。ウミユリの仲間は古生代という大昔には浅い海にたくさん栄えていましたが大量絶滅の不運でごくわずかの種だけがかろうじて生き残り、捕食者の少ない深海に進出しました。見かけによらず活発でイラストの中で倒れているのは朽ち果ててしまった訳ではなくしばしばこうして海底を「歩いて」いるのです。何だかB級ホラー映画で人の腕だけが地面をモソモソ動いている場面に似てますね。次にコトクラゲも珍しいクラゲで有櫛(ゆうしつ)動物門、クシクラゲの仲間です。二本の触手でプランクトンをからめ、クラゲのくせに泳ぐことなく固着の生活を送っています。属名のLyrocteisは「竪琴の形をしたクシクラゲ」、種小名のimperatorisは一九四一年に江ノ島で採取した昭和天皇にちなんで命名されました。最後にダーリアイソギンチャクは花のダリアからの命名であることは容易に想像できますね。口盤(こうばん)の周りはボサボサとたくさんの触手に覆われています。触手の根元に括約筋というのがあって収縮させることで簡単に脱落させられるそうです。刺胞動物門花虫綱六放珊瑚亜綱(しほうどうぶつもんはなむしこうろっぽうさんごあこう)という多分二度と聞くことはないであろう難しいグループに属します。
1.Linopneustes murrayi
 ウルトラブンブク
 20p

2.Metacrinus rotundus
 トリノアシ
 50p

3.Lyrocteis imperatoris
 コトクラゲ
 10p

4.Liponema multiporum
 ダーリアイソギンチャク
 25p