移行帯底生魚
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深海にも上品な生き物がいるので紹介しておきましょう。学名にjaponicusとかsagamiensisとかあるようにアカザエビとサガミアカザエビは日本固有のエビ(Japanese lobster)ですがフランス料理やイタリア料理の食材として有名です。いわゆるラングスティーヌとかスカンピと呼ばれる料理ですね、確かに美味いです。店では手長エビと呼ばれることもありますが、これとは全くの別種で淡水や汽水域に生息するテナガエビ(Macrobrachium nipponense )という種類がいるので混同しないように。よく知られるアカザエビ、地域によってはサガミアカザエビの方がよく獲れるようです。ちなみにこちらはハサミの先端が白いのが特徴です。これらのエビは普段海底に穴を掘って暮らしています。脱出用でしょうか、反対側にも出入口があって貫通しているそうです。なおアカザの名前は雑草のアカザ(藜)の若い葉っぱの色からの命名とのこと。ちょっと脱線しますが一九九五年、ヨーロッパアカザエビの口器(こうき)にケッタイな生き物が見つかりました。〇.三ミリほどでそれまで知られている約四十のどの門にも属さないことから新たに有輪動物(ゆうりんどうぶつ)門というのが設けられました。未だに新しい生物(種類ではなく)が見つかっているんですね、驚きです。ちなみにこの共生生物、シンビオンパンドラ(Symbion pandora)と名づけられました。開けちゃいけない箱を開けてしまったのでしょうか。本論に戻りましょう。次に貝、名前がいいですね。オキナエビス(翁夷、翁蛭子)。長者貝とも呼ばれ何とも縁起がよさそうです。学名にミカドなんて付いてていかにも高貴な感じがするしね。その綺麗な模様と整った形からコレクターも多くオークションも活発です。今ほどポピュラー(といっても今でも珍重)になる前は簡単に獲れるものではなく偶然に頼るしかありませんでした。中でもリュウグウオキナエビスという種類は一つ三百六十万円で取引された実績があるとか…宝石並みですね。殻のスソの部分に肛門を出すためのスリットがあってこれが巻貝の先祖である証拠であることから生きた化石にもなっています。
1.Metanephrops japonicus
 アカザエビ
 25p

2.Metanephrops sagamiensis
 サガミアカザエビ
 18p

3.Mikadotrochus beyrichii
 オキナエビス
 10p













有輪動物