上部漸深底帯底生魚
/生物15

何とも個性を感じさせる貝です。クマサカガイという円錐形の巻貝が色んな貝殻を身にまとっているのです。長い口先を器用に動かして一生懸命着飾っています。飾りは巻貝専門のほか、二枚貝専門、黒石専門、白石専門、サンゴ専門、サメの歯などとりあえずガラクタを集める、など好き嫌いがあるようですよ。英名はCarrier Shells、学名のXenophoraにも「異物」、「背負う」という意味があるそうです。和名の「クマサカ」は平安時代の伝説の盗賊で最期は牛若丸に討ち取られる熊坂長範(ちょうはん)に由来するとか。棒や薙刀(なぎなた)、大太刀などの七つ道具や数々の盗品に因んでいるんでしょうね。では、なんでわざわざこんなことをするんでしょう。実は分かってないんです。薄い殻を補う補強説、外敵から見えにくくするカモフラージュ説、泥に沈みにくくするカンジキ説、などが考えられています。クマサカガイ自体は13500万年前の白亜紀には登場していたというから年季が入っています。さて本体にばかり注目がいっちゃいますがくっついている貝もいずれも稀少でコレクター垂涎モノの深海貝たちです。舌をかみそうな名前が多いんですけどね。クサイロギンエビスとキヘイジエビスはどちらもニシキウズガイ科、前者は別名コガネエビス、後者は元日本貝類学会理事大島喜平次氏に因み非常に珍しいそうです。キヌジサメザンショウはリュウテン科でサザエの仲間。ソビエウラウズカニモリはウラウズカニモリ科。サクライハラブトツノガイはクチキレツノガイ科。さぁ以上まとめて完品だとハウマッチ?
1.Xenophora pallidura
 クマサカガイ
 8p

2.Trochocerithium tectiformis
 ソビエウラウズカニモリ
 3.3p

3.Phanerolepida transenna
 キヌジサメザンショウ
 4.6p

4.Bathybenbix aeola
 クサイロギンエビス
 5.2p

5.Otsukaia kiheiziebisu
 キヘイジエビス
 2.8p

6.Polyschides sakuraii
 サクライハラブトツノガイ
 1.5p