下部漸深層遊泳魚
/生物08

ギリシャ文字のタウ(τ)の形に似ています。トゲベニオオアミは前にも後にも立派なトゲがシュッと伸びています。これでは捕食者もおいそれとは食いつきづらいでしょうね。そして全身にスケルトンな殻をまとい、内臓の赤は深海では真っ黒に溶け込むので暗闇では好都合です。忍者のように気配を消し時間をたっぷりかけてここまで成長しました。そしてどうやらトゲは成長するにつれ短くなる傾向のようです。自分もプランクトンですが海中をこうして漂いながらより小さいプランクトンをかき集めて食していると考えられます。赤道近辺の低い緯度の深海に生息しています。分類はいうまでもなく甲殻類だけどエビとは無関係、アミ目のロフォガスター亜目(Lophogastrida)というところに属します。次にイカムシ。いかにもなネーミングですね。環形動物の一種で正体はゴカイの仲間、人の指ほどの大きさで海中をせわしなくクネクネと泳いでいる姿が観察されています。さて名前のイカとはこのいやでも目立つ触手が十本あるから。漢字にすると烏賊虫、だけどイカとも虫とも無縁です。英名スクイッドワーム(Squidworm)もほとんど直感的です。コイル状の二本は外肢(がいし)と呼ばれエサを獲るためのもの、残りの八本は呼吸のためとのこと。移動はムカデのような多数の足を脈動させます。発見は二〇〇七年、フィリピン沖セレベス海の深海二千九百M。色んな生き物がまだまだいるもんですね。
1.Gnathophausia zoea
 トゲベニオオアミ
 10p

2.Teuthidodrilus samae
 イカムシ
 9p