中深層遊泳魚/生物04
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カラダの九十五%が水分で何ともとらえどころのないクラゲですが中層では最も普通に見られる深海生物です。種類は三千種にも上るそうで、とらえどころのないのは姿形だけでなくその分類の多様さにあります。刺胞(しほう)動物門と有櫛(ゆうしつ)動物門にまたがっているのですが、この門のレベルというのは全く非なる遠い関係なのに透明でフワフワした感じが似ているせいかいわゆる「クラゲ」と称されています。分類も文献によって微妙に違っているので下の表も参考程度に見てください。ややこしいのは浮遊生活の世代だけをクラゲと言い、刺胞動物でも浮遊しないサンゴやイソギンチャクは含まれません。刺胞動物門は触手にある刺胞を刺してエサを捕まえ、雄と雌がいてここに描いたカッパクラゲ(ヤドリクラゲの仲間)が属しています。対し有櫛動物門は触手にある粘着細胞でエサを捕まえ雌雄同体なのが特徴です。カブトクラゲやオビクラゲが後者で櫛板(くしいた)と呼ばれる繊毛が光に当たると実に綺麗な虹色にたなびきます(自らが発光しているわけではありません)。オビクラゲは欧米でヴィーナスの飾り帯(Venus's girdle)と呼ばれ一科一属一種の独り者です。中央付近に口があります。これらのクラゲ達は浅いところから深みまで幅広く分布しているのも特徴でときどき表層で見つかったりします。そういえば漢字でも水母、海月、水月とこれまたとらえどころがありません。こんなにヤワで頼りない生き物なのに多くの種類がいろんなところで繁栄しているんですね。恐るべしです。 |