中深層遊泳魚
/生物05

ボウズだのハゲだのいい加減にしてくれと言われそうです。頭のてっぺんにウロコがないというだけで名付けられました。ボウズハゲギスとコオリイワシはノトセニア科の中でも外洋に適応するため、うきぶくろの代わりに海水より比重の軽い脂肪をたくさん貯えて中性浮力を得ているそうです。一生を外洋で過ごすコオリイワシは数が多くて南極海に網を投げれば九割がこの種類とのこと。同じく一見弱々しく見えるハダカイワシの仲間、ナンキョクダルマハダカも中層で数多く繁栄しています。その彼らの食生活を支えているのがナンキョクオキアミ、とにかく数億トンと言われる量(バイオマス)が半端じゃありません。寿命は五〜七年と言われ夏と冬を何回か経験するわけで、夏は豊富な植物プランクトンを食べます。一方暗い冬は動物プランクトンや氷の下に茂ったアイスアルジー(珪藻の集まり)をエサに越冬します。さらに脱皮のときに体のサイズを小さくしてエネルギーの消耗を抑えるという離れワザをやってのけるそうです。表層で放たれた卵は水深千M以深で孵化(ふか)し上昇しながら成長します。一匹一匹が集まって「スクール」となりさらに大きな群れ「ソール」が集まると数十M〜数キロにおよぶ巨大な群れ「パッチ」が形成されます。中でも極端に高密度な集団「スワーム」を狙ってヒゲクジラ類、魚類、イカ、鳥、アザラシ、アシカ、ペンギン、そして人間が集まってきます。特に漁獲の六〜八割は日本人が食べたり釣りエサに消費しているとか。ナンキョクオキアミの繁殖力も凄いですが日本人のこだわりも凄いですね。
1.Pleuragramma antarcticum
 コオリイワシ
 25p

2.Pagothenia borchgrevinki
 ボウズハゲギス
 28p

3.Electrona antarctica
 ナンキョクダルマハダカ
 10p

4.Euphausia superba
 ナンキョクオキアミ
 5p












アイスアルジー