中深層遊泳魚
/生物18

巨大になる軟体動物はイカに限りません。カンテンダコは名前のごとく寒天のようにぷにゅぷにゅしてますが頭(実際は腹です)の先から足の先まで2M、不完全ながら4Mと推測される標本もあるそうです。そこまでデカくなるのは雌、一方の雄は小ぶりで一見七本足に見えるのが特徴だそうです。交接腕(こうせつわん)と呼ばれる精包を受け渡すための腕が右目の前で嚢状(のうじょう)、つまりポケットに収納されていて雌に出会うとおもむろに取り出し、ハイとプレゼントするわけです。姿かたちは違っていてもやることは人間と変わりありません。ゆらーりと泳ぎながらたまにマッコウクジラなんかの餌食になっているようです。さてニアミスとはいえこのでかい図体の水流で危うく壊れそうになったのがヨウラククラゲ。深海生物の名前をながめていると時々ン?と思うものに出会うことがあります。で意外と仏具からの命名が多いんですね。見た目で似ているのを探した結果なんでしょう、ハリナガリンボウ(輪宝)とかホッスガイ(払子)とか…そしてヨウラククラゲもその一種、仏像さんの首飾りや胸飾りに使われる瓔珞(ようらく)が借用元になっています。クダクラゲの仲間で泳鐘(えいしょう)と呼ばれる前半分が泳ぐための連結個体になっててここが名は体を表しているわけです。先端の豆粒は気泡体と呼ばれる浮きです。後ろ半分は幹群(かんぐん)と呼ばれ、栄養、生殖、触手などの役目を分担しています。それにしても整然と並んだ十二角柱のガラス細工は見とれていると生き物であることを忘れてしまいそうになります。
1.Haliphron atlanticus
 カンテンダコ
 200p

2.Agalma okenii
 ヨウラククラゲ
 30p












ようらく