上部漸深層遊泳魚
/生物01

十六Mのマッコウクジラが全長で互角の長さを持つダイオウイカに襲いかかっています。過去最大級のダイオウイカは胴体の長さ(外套長)五.六M、足まで含めた全長が十九.八Mというとんでもない大きさの記録があります。また地球上の生物全体の中で最も大きな眼の持ち主でもありそれはバスケットボール大とか。間近で目が合ったら固まってしまいますね。体内のアンモニアイオンで海水の比重とのバランスを保っています。そのアンモニアのおかげで人間にとってはとても食べられたモノじゃありません。さてヒロビレイカもマッコウクジラの好物で胴体は一M以上になるこれも大型の部類になるイカです。特徴は胴体全体に広がる大きなヒレと光る手のひら、でしょう。触腕(しょくわん)と呼ばれる獲物を捕らえる特別な腕は生長とともに失われ八本足になります。そして第二腕(漏斗のあるのが腹側で腕はそこから左右にそれぞれ第四、三、二、一と数えます)の先端に小判型の発光器を備え、普段は黒い膜に覆われていて、危険を感じるとその膜をめくってピカッとまばゆい閃光を浴びせ相手を威嚇します。しかしマッコウクジラには通用しないと見えてクジラの消化器からは大量のカラストンビが見つかるそうです。このカラストンビ、歯の役目をする鳥の口ばしみたいなものでカラスは上顎板(じょうがくばん)、トンビは下顎板(かがくばん)を称しています。これがクジラの腸管に溜まると徐々に塊りになって龍涎香(りゅうぜんこう)と呼ばれる神秘的な物質になります。かつては同量の金と同じ値打ちがあり媚薬やチフスの特効薬、不老長寿の薬として珍重されたそうです。悪臭がやがてクジラの名前ともなった抹香(まっこう)の香りになり高価な香料として取引されていました。<追記>二〇一三年三月、英国の学術専門誌「英国王立協会紀要」がダイオウイカのミトコンドリアDNAを解析した結果、今まで論じられてきた複数種いる説についてはArchiteuthis duxの一種類しか存在しない可能性が高いと発表しました。
1.Architeuthis dux
 ダイオウイカ
 200p(外套長)

2.Taningia danae
 ヒロビレイカ
 100p(外套長)













カラストンビ