上部漸深層遊泳魚
/生物17

頭の上の角、そしてかまれると痛そうな牙、まさしく「鬼」アンコウを体現しています。オニアンコウ科の小さな雄は眼が望遠鏡のようになり、鼻も発達させて嗅覚もフル稼働、必死に雌を探します。そしてやっとの思いで見つけた雌の体に食らいつくと皮膚やら血管やらが完全に一体化して一生を委ねます。二度と離れません。真性寄生型と言うそうです。でも共通するのはそこまで。雌の鼻先の提灯とアゴヒゲはそれぞれ個性を主張しています。ヒガシオニアンコウは二股に分かれた提灯(エスカ)と長い一本のアゴヒゲを持ち、その先端は細かく分かれています。逆にニシオニアンコウの提灯はのっぺりしている代わりにアゴヒゲは立派で四本の幹がこれでもかと分岐しまくっています。これが妖しく光るわけですね。イナズマのようです。この二種は主に大西洋の北の方、冷たい海がお好みです。アクマオニアンコウは名前だけ聞くと一体どんな怪物かと思っちゃいますね。提灯の先端は丸い膨らみからゆらゆらと付属糸が分岐しています。アゴヒゲの先端は平べったい二枚の葉っぱのように分かれています。こちらは北太平洋あたりに棲息しているそうです。アクマだオニだと言われても健気(けなげ)に生きているのです。
1.Linophryne coronata
 ヒガシオニアンコウ
 17p

2.Linophryne algibarbata
 ニシオニアンコウ
 23p

3.Linophryne lucifer
 アクマオニアンコウ
 19p(♂2p)