4月16日(月曜日)「音が心に宿る・調性・強迫性障害 3/3」




調性の関係を図や表にしてみると誰が描いてもこのようになる。
ちょっと工夫して感覚的に規則性を解るように描いてみた。

             【調の5度圏の時計



 下属調並行調               属調並行調
 反時計回り                時計回りで
 長調→長2度上(短7度下)の短調     長調→長3度上(短6度下)の短調
 短調→長3度下(短6度上)の長調     短調→長2度下(短7度下)の長調




                【調の5度圏の表


                 【長調】   【短調

                  一一一 

                  一一一 

                  一一一 

                  一一一 嬰へ

                  一一一 嬰ハ

      ・7   ロ・変ハ 一一一 嬰ト変イ

      ・6  嬰ヘ・変ト 一一一 嬰ニ変ホ

      ・5  嬰ハ・嬰ニ 一一一 嬰イ変ロ

                変イ 一一一 

                変ホ 一一一 

                変ロ 一一一 

                  一一一 

                  一一一 



 以上。

……このようなものなのでした。



さて、(主観も交えつつ)強迫性障害を絡めて作品を述べてみたが、病跡学では、
主に以下の作曲家たちは強迫性障害に罹患していたと推察されている。



 ■ベートーヴェン
   強迫行為が多く、それを妨げられたりしての癇癪も多かったようだ。
   ベートーヴェンの音楽は荘厳で迫力があるものも多いが、執拗に主題を何度も
   何度も繰り返すソナタ形式など、作曲面でも強迫性障害が影響を与えた可能性はある。
   難聴の進行と老化が、元からの性格に更に影響を与え、オーケストラ曲に関しては
   晩年は寡作になる。交響曲第8番以後、10年近くオーケストラ曲は作曲せず、
   のちにミサ・ソレニムス(作品123)と第九(作品125)を続けざまに
   発表してオーケストラよりも弦楽四重奏曲の大曲にのみ没頭する。それらの
   弦楽四重奏曲は晦渋である面は否めない。(それ故に後期弦楽四重奏曲群の
   ファンも多い)

 ■リバ
   教会で働く傍ら作曲をしていた。物事を難解に、または悲観的に捉えて離れない
   ような性格だったようだ。うつ病を患っていたが、強迫性障害による二次障害での
   うつ病なのかもしれない。几帳面。のちに森林で自殺している。
   強迫性障害からうつ病を発症なのか、うつ病が先なのか……。

 ■ブラームス
   徹底的な強迫的完璧主義者。自己批判的であり、自分に厳しい。完璧を求める
   あまりに遅筆になり、そして寡作になった。一旦ペンを折る。

 ■ブルックナー
  行動様式も音楽も強迫観念が強かったようだ。ジンクスなどを異様に拘る面も。
  作風でも強迫的な面はあり、巨大で自由なソナタ形式などが多く、幾つもの
  主題が何度も繰り返されたりする。それ故に荘厳さが増したり、ドイツの黒い森の
  ような深さを表現も出来ている。出版した作品は殆どが改訂を何度も繰り返し、
  作品そのものを大規模に変更するほどの改訂をしたこともある。
  交響曲と幾つかの宗教曲以外は目立つ作品は少ないが、9曲の交響曲(さらに
  若い頃の習作の0番と00番もある)の熱烈なファンは多い。
  ブルックナーの音楽は、ブルックナー開始、ブルックナー休止、コーダと休止など
  幾つかの際だった特徴があり、ブルックナー開始は第1楽章が弦楽器のトレモロで
  開始され、これを多くの曲で採用している。
  ブルックナー休止は楽想が変わるときに、オーケストラの演奏を一時的に
  全休止させてしまうこと。殆ど全ての曲で採用している。
  コーダと休止は、コーダの前にタメの休止があり、そこから新しい動機などが
  出現して徹底的に、扇動的にさえ思えるほどに上昇させ頂上に到達させる。
  これらの他にも幾つかの特徴を殆ど全ての音楽で踏襲させている。
  ちなみにブルックナーはロリコンでもある。
  
 ■マーラー
  妻に対する確認強迫が激しかった。また、作曲中に閃いた秀逸な旋律が、俗っぽい
  旋律で頭の中を埋められてしまって、作曲に度々支障を来していた。
  音楽自体も異様に騒々しい演奏部分がしばしば登場する。長大な作品が多い。
  フロイトの診察により改善したが、直後に敗血症で死亡している。
  
 ■サティ
  外見は身だしなみがしっかりしており、清潔感がある人物であったが、自宅が
  汚部屋だった。綺麗にしなければいけないという強迫観念が強すぎて疲れてしまい
  自宅では掃除が出来なかったようだ。
  また、潔癖性の強迫観念が強すぎて、掃除そのものが手が汚れるとして出来なかった。
  潔癖性の人も度が過ぎれば、反対に汚部屋の住人になることもある。

 ■シベリウス
  早くから才能を開花させ、様々なジャンルの曲を数多く作曲したが、長命だったにも
  関わらず、管弦楽曲のタピオラを作曲以後は人生の半分が一気に寡作になった。
  途中から強迫性障害になった作曲家であり、ブラームスのような徹底的すぎる
  完璧主義者になってしまい、何度も書いては訂正を繰り返し、自ら衰弱して作品を
  仕上げられなくなっていった。交響曲第7番が最後であるが、交響曲第8番は何度も
  何度も取りかかってはボツにしたり、訂正に訂正を繰り返してダメにしていた。
  完成させたものの、交響曲第8番は厳しく管理されていて、結局は燃やしてしまって
  世に出なかった。

ブルックナー、マーラー、ショスタコーヴィチなどは、その執拗さや独自の規則性、
独特の際だつ様式、長大作品が多いことなどから、作曲家を神格化するコアなファンが
多い。そしてファンもそういう傾向がある人が相対的に多い気はする。
純粋に音楽として考えた場合、エポックメイキングだったり衝撃的な新しい解釈を
導入したり、音楽性は高い。この3人は男性の熱烈なファンが多いのも有名。


芸術家の例に漏れず、作曲家も強迫性障害だけでなく、気分障害や統合失調症が
わりといる。創作と障害の親和性ってなんだろうね……。





   若い頃のブラームスって結構イケメンだなと思う。



<了> 最後まで読んで下さって感謝します。


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