【愛器紹介】
* ゲルノット・ワグナー('03年ドイツ/杉)
・またまた「偶然」いや「必然」に出会った、出会ってしまった!とんでもない楽器!!
調弦で和音を鳴らしたとたん、オーケストラの様々な楽器の音が湧き上がってくるような響きに「えっ!」・・・言葉もないという感じでした。
シャルバトケの立体的で重厚な低音と、ダマンのパワフルで艶やかな音を併せ持ったような楽器です。
その独特の甘く艶やかな音色と、ノーメックスを使用した表面板二重構造が生み出すパワーが絶妙なバランスを生み出している。
新作のダマンを弾く機会はなかなかなさそうですが、ダマンよりも楽器のデザインやモザイクが美しく華がありますね。
音色や楽器としての能力は比べてみないことには何とも言えませんが、このワグナーの方がより色彩豊かで甘い音色なのではと思います。
圧倒的なパワー・音量はダマンに劣るかもしれませんが、それだけに楽器としては「人間的!」というか「生き物」としての魅力にあふれています。
この楽器もレイズドフィンガー方式を採用しています。慣れると高音部で左手が表面板にあまり当たらないので動きが楽なところもあります。
*マティアス・ダマン (’92年ドイツ/杉)
・M・バルベロTのすばらしいギターに「出っくわして!」悩んでいるうちに一週間もしないうちに買われてしまい、
がっかりしていたら 「私がいるでしょ」とでもいうように目に飛び込んできたものです。
現代の楽器にありがちな「無機的な音」とは違って艶やかで温かい音色を持っている。
ダマンは表面板サンドイッチシステムを採用していますが、その利点はヴァイオリンなどと合わせても音量にも表現力にも余裕がある
ので、弾いていて安心感があります。
このダマンは表面板サンドイッチ工法を採用してから2年ほどの初期の楽器で、外見からは想像もつかないほど軽量で
音も軽やかでヴォリュームがあります。ただ低音の深み、全体の音の「密度」からすると、私が求めている音色にはまだ足りない
部分が多いなぁ・・とも感じました。
しかしこの間、ヴァイオリンやチェロ、歌曲伴奏や朗読とのコラボレーションで大いに活躍しました。
今でも「軽やか」で「甘く」「抜けの良い」音色は耳の奥に残っています。
最近作のダマンの「進化」した音を、実際に手にとって確認してみたいと思っています。
【この度私との5年間に渡る「コラボレーション」を終了し、新たな持ち主に出会うべく旅立たせました。】
*ローランド・シャルバトケ (’98年ドイツ/杉)
・フレドリッシュ'78年をオーバーホールに出さなければならなくなって、代わりに使用する楽器が無くて困っていたときに出会った物です。
その立体的で透明な響きに驚いたのを覚えています。
家具職人としても一流だったことを伺わせるに充分なその工作技術は、演奏者の弦高の調節までも拒否するような完璧さをみせている。
今はまだ高音域に固さがあるので、あと数年弾き込んだら艶やかな音になるのではと思っています。
現在はサブとしての役割を担っていますが、10年を経て少し音色に「色気」がでてきたかなぁ・・という感じです。
重厚な低音と歯切れの良い高音は、意外とサントス・エルナンデスやマルセロ・バルべーロT、アルカンヘル、などのスペインの名器の音
に近い!
それにしても見事に「ドライ」な高音域に、買うときも少し悩んだところですが、弦のメーカーを工夫したりして弾き込んでいけば大丈夫かな
と思ったわけです。高音域に煌くような明るさと色気があったら、歴史に残る名器の仲間入りが出来るでしょう。
私のギターの音色に対する感覚や弾き方に、非常に大きな影響を与えた楽器であるといえるでしょう。
*ダニエル・フレドリッシュ(’78年フランス/杉)
・’92年のハバナ国際ギターフェスティバルでコンチェルトを弾くことになって、オーケストラとの共演に対抗できる音量・パワーを持った楽器
は・・・で、当時最も評価が高かったのがこのフレドリッシュ!
この楽器に出会うまでいろいろなお店で6本のフレドリッシュを見ましたが、なかなかイメージに合うものが無く、1年近く探してやっと
出会ったものです。
ハバナのフェスティバルでは私の他、E・フェルナンデス、C・ウルトフはじめ5人のギタリストがフレドリッシュを使っていましたが、
このギターが一番パワフルでした。
【この度幸せな嫁ぎ先を見つけ、旅立たせました。】