BJについて

 

個々の人間が追求していることを一つに束ねるということは、不可能に近いことです。しかし、それに「意識的に取り組んでみる」ことには意味があるはずです。

私たちの接点は、美術教師であるという一点です。作家としての各自の方向性は様々ですが、教師と並行して活動している点において、奇妙な共通意識が生じています。

学校という場は、この混迷する世の中の縮図であり、私達は常に生徒とともにその問題に直面しています。そしてぼんやりとですが、その中で芸術が果たすべき役割があるように思うことがあります。メンバーで話をすると、皆多少の差はあれ、このような学校を起点として人と美術との関わりを考えているようです。
このグループ展は、当初は発表の場の一つとして企画されましたが、話し合いを重ねるうちに次第に方向性が定まっていきました。この会を単なる「仲良しグループ」的なものや、何の必然性もない曖昧なものにしないために、毎回テーマを設けることにしました。また、あえて美術教師だという素性を明かし強調することで、逆に自分たちとそれを取り囲む様々な問題点を浮き彫りにしていくことを考えました。私達は、少なからず教員生活からインスピレーションを受けているはずです。使い方次第でそれは武器になります。意識的に教員として、様々な課題に取り組んでいこう、ということです。

グループで発表する場合、共通の理念や内容的接点があれば相乗効果も生まれるのでしょうが、今の世の中においてはそれを見つけることが困難になってきています。従来の図式は当てはまらず、あらゆる事柄が多様化している・・・美術もまた混乱の中にあり、私達自身もそこにいるのです。個展では出来ない、意識を持って集まった集団が話し合いや調整を重ねて発見できるような・・・そんな余地もまだ残されているように思います。

このグループは、基本的には出入り自由です。おそらく「解体されるために存在している」のです。別々の「どこか」へと繋がっている、一本の細い道に過ぎないのです。しかしその道を今、何人かで一緒に歩いてみることは必ずしも無駄なことではないと思います。

その、それぞれの「どこか」に近づくため、私達は精一杯ぶつかり合いたいと考えています。

私達はこの展覧会を、美術ファンの方のみならず、広く一般の方にご覧いただきたいと考えています。そのために『美術準備室(BJ)』という私達の仕事場を指す言葉を提示しました。この言葉には「これからの美術を準備するための空間」という別の意味も重ねてあります。私達の活動が、美術と美術、人と人とを繋ぐ一つのきっかけとなってくれたら、という思いが込められています。

今回のテーマは「ワスレモノ・・・」です。各自思い思いの方法で料理します。

(文責:間所節夫)

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