植物の生命力幻想的に描写 福井 |
福井新聞(2000年7月18日発行)より |
武生の伊藤さん洋画展県内での個展は始めて.「聖域」(50号)は水辺の向こうにあるうっそうとした森をとらえている.よく見ると横たわった女性が中央部に描かれており,足から幹が伸びていたり,枝が腕にからみつくなど森と同化,あやしげな雰囲気を醸し出す.敦賀市池河内にある笙の川源流付近の風景からイメージを膨らませたという. 「ないがしろにされた自然の中で,決して侵されることのない場所を記した.どんな小さな植物でも持ちあわせている生命力を,人体を掛け合わせることで強調した」.顔料に卵の黄身を混ぜ合わせてつくるテンペラに,さらにニカワ,でんぷんのりを加えボリュームを出した.顔料そのものの発色を引き出させる上,速乾性もあるのも特長. テンペラとアクリル画をミックスさせた「存在(やまぼうし)」(10号)も植物を通じ,生命の内的イメージの描写に挑んでいる. 伊藤さんは独立美術展をはじめ,県美展などに作品を発表,インターネットのホームページでも公開している. |
左が「聖域」(P50),右の2点が「存在(やまぼうし)」(F10) ともにテンペラとアクリルの混合技法 |