植物の生命力

幻想的に描写            福井

福井新聞(2000年7月18日発行)より

武生の伊藤さん洋画展 

 武生市の洋画家,伊藤裕貴さん(33)の個展が福井市中央一丁目のギャラリーG2で開かれている.テンペラ,油彩,アクリル画の13点を出品,植物の生命力に焦点を当て幻想的な世界をつくり出している.23日まで. 
 県内での個展は始めて.「聖域」(50号)は水辺の向こうにあるうっそうとした森をとらえている.よく見ると横たわった女性が中央部に描かれており,足から幹が伸びていたり,枝が腕にからみつくなど森と同化,あやしげな雰囲気を醸し出す.敦賀市池河内にある笙の川源流付近の風景からイメージを膨らませたという. 
 「ないがしろにされた自然の中で,決して侵されることのない場所を記した.どんな小さな植物でも持ちあわせている生命力を,人体を掛け合わせることで強調した」.顔料に卵の黄身を混ぜ合わせてつくるテンペラに,さらにニカワ,でんぷんのりを加えボリュームを出した.顔料そのものの発色を引き出させる上,速乾性もあるのも特長. 
 テンペラとアクリル画をミックスさせた「存在(やまぼうし)」(10号)も植物を通じ,生命の内的イメージの描写に挑んでいる. 
 伊藤さんは独立美術展をはじめ,県美展などに作品を発表,インターネットのホームページでも公開している. 
 
 
左が「聖域」(P50),右の2点が「存在(やまぼうし)」(F10) 
ともにテンペラとアクリルの混合技法
 
 

GALLERY G2

福井市中央1丁目19-17平松ビル1F
TEL/FAX 0776-28-2830
e-mail:pyon@mitene.or.jp

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