契約書の作成

 契約書とは
   契約とは、対立する複数の意思表示の合致によって成立する
  法律行為のことです。
   例えば、売買契約であれば、買いたいと売りたいという申込
  の意思表示と承諾の意思表示の合致によって成立します。
   売買の他に民法に規定されている契約としては、贈与・交換・
  賃貸借・使用貸借・消費貸借・請負・雇用・委任・寄託・組合・
  和解などがありますね(典型契約)。
   それから、示談等、民法には規定されていない契約(非典型
  契約)もあります。
   これらの契約は、口頭だけで成立します。
   そして、特別の規定がない限り、必ずしも契約書はなくても
  契約が無効となることはありません。
   では、契約書を作成する意義はどこにあるのでしょうか。
   契約書により後々契約の内容を確認することもあるでしょう。
   しかし、それだけに意義があるのではありません。
   残念ながら、契約は成立しても履行されないことがあります。
   そんなときは契約が成立したことを証明して履行するように
  請求することとなります。
   そして、契約書は、これらの契約の成立を証明する書面であ
  り、将来紛争が生じたときにその紛争を解決するための有力な
  証拠ともなりうるのです。
   そこで、証拠を保全するためにも契約を文書化しておく、す
  なわち、契約書を作成する意義があるのです。
   かかる意義は、企業であろうと、個人であろうと、変わりが
  ありません。
   契約書には、表題や当事者の表示、内容となる条項、作成日、
  当事者の署名・押印等を記載し、収入印紙を貼付します。


盛り込むべき条項等

 収入印紙
   収入印紙は貼付されなければなりませんが、仮に貼付されて
  いなくても契約の効力そのものは有効です。

 表題
   何の契約書か明らかにするためにタイトルをつけます。
   これが表題です。
   何の契約書か明らかにするために記載する以上、何の契約書
  か具体的にわかるように記載しましょう。
   例えば、売買契約ならきちんと「売買契約書」と記載しまし
  ょうね。

 当事者の表示
   契約の当事者とは、その契約により発生する権利や義務の主
  体となる者です。
   契約が契約の当事者に権利を与えたり義務を負担させる法律
  行為である以上、誰が契約の当事者か明らかにすることが必要
  です。
   例えば、売買契約であれば、契約の当事者は売主と買主であ
  り、これらの者を契約書にも記載しなければなりません。

 内容となる条項
   契約書は、法律の条文のように、条項を付して契約の内容を
  記載します。
   条項としては、債権の内容、履行期限、存続期間や履行場所、解
  除・解約、損害賠償、期限の利益の喪失、諸費用の負担等を記載し
  ます。

  債権の内容
    契約当事者の権利・義務を債権債務といいます。
    債権債務が何か明らかにしなければなりません。
    例えば、売買契約の場合には、買主には目的物の引渡債権と
   代金債務、売主には代金債権と目的物の引渡債務があることが
   わかる記載をしなければなりません。

  履行期限・存続期間や履行場所
    契約は、いつどこで履行されなければならないか、いつまで
   存続するのかを記載します。

  解除・解約
    契約を解除・解約したいときはどのような場合にどのように
   してできるかを記載します。

  損害賠償
    履行されなかったことによりあるいは履行されても損害を受
   けたときは損害賠償請求ができます。
    その賠償額についてあらかじめ契約の内容とすることができ
   ます。
    履行されなかった場合には遅延利息の額について、また、賠
   償額の予定も記載することができます。
    損害賠償額については具体的に記載しましょう。

  期限の利益の喪失
    債務者は期限までは履行しなくてよいという意味で期限は債
   務者の利益となります。
    例えば、金銭貸借や継続的取引においては債務者が債務不履
   行等に陥ることがありますので、この期限を喪失させ、直ちに
   債務者に履行をさせる条項が必要です。

  諸費用の負担等
    取引には、税金や法定費用がかかることがあります。
    この場合には、争いを生じさせないためにも、当事者間で諸
   費用をどのように負担するかを定める条項が必要です。

  その他の条項
    契約内容により、また、当事者間の関係により、その他の条
   項を記載することもあります。
    例えば、危険負担、保証、担保責任、協議、裁判管轄、公正
   証書・強制執行認諾など、いろいろあります。

  気をつけるべき点
    法令違反や公序良俗違反、強行法規違反の内容は、記載して
   はいけません。
    例えば、妾契約などは公序良俗違反となります。
    また、曖昧なため、条項として記載すべきでないものもあり
   ます。
    例えば、「著しく遅延したとき」といったハッキリしない条件
   は付すべきではありません。

 作成日
   作成日の記載は必ず記載しましょう。
   作成日はいつ契約が成立したかを示すものです。

 当事者の署名・押印
   ワープロ等の記名でも構いません。
   この場合には押印が必要です。
   また、署名でも、押印した方がよいでしょう。


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