腰痛でお悩みの方
(脚には痛みが無い腰痛)
白鷹堂:堀 部  健

灸治療を希望される方のなかでも、腰痛は最も多く見られる症状です。
しかし、腰痛の原因は本当は解っていない部分も多く、未だ研究者を悩ませる疾患
です。ここでは話を簡単にするため少し乱暴な分類をして、腰痛の概要を述べ、自
分で出来る腰痛ケアに的を絞ってお話します。腰痛は比較的経過の良い疾患ですが
中には注意を要する腰痛も存在します。最後にその特徴をまとめましたので参考に
して下さい

痛は、責任組織別に分類すると、背骨とそれを取り巻く筋肉、神経といった部
分が原因で発症する脊椎性腰痛と、腎臓疾患・尿路結石といった内臓疾患や、子
宮などの骨盤内臓器が原因となって発症する内臓性腰痛があります。

 
鍼灸療法にはこれまでの研究や、その治療の特性からして筋肉やその周囲組織が
痛みの原因となっている脊椎性腰痛がよい適応となります。

 これからは、鍼灸治療の好適応となる脊椎性腰痛を中心に話を進めていきます。
脊椎性腰痛の症状の特徴は腰の動作時、例えば椅子から立ち上がる際や、床の物を
拾おうとして腰を屈めた際など、腰やお尻の部分にズキッとかズーンとした痛みが
出現したりします。一方の内臓性腰痛は、こういった運動時に腰は殆ど痛まないの
が特徴です。

 また、腰痛のもう一つの分類には、痛めた時点から急激に腰痛が増悪する急性腰
と言われるものと(これは俗称「ギックリ腰」といわれています。)、痛めてか
ら腰痛が慢性的に経過し持続する慢性腰痛があります。これは気が付くと腰に重怠
い感じや、弱い痛みがある。起床時に腰に痛みがあるが、動いているうちに、だん
だん痛みが軽くなるといった特徴が有ります。

 急性・慢性いずれの腰痛も消炎・鎮痛作用(炎症を抑え、痛みを軽減させる作用
)を有する鍼灸治療は奏効します。但し、激痛として発症する急性腰痛の場合、腰
のサポーターを用いるなど補助療法を必要とする場合が有りますが、症状の消失ま
でには痛みの程度の割に急性腰痛の方が痛みは早く消失する傾向にあります。

@急性腰痛に対するセルフケア

急性腰痛の第一選択は何と言っても安静第一です。激
痛のため動くのも辛いときは無理に動かない方が無難
です(
2日以内に留めた方が良い)。どうしても動か
なければならないときは、晒(さらし)やコルセット
などで腰を保護してあげると楽になります。痛みが強
くて寝返りも打てない時は、コルセットをしたまま寝
ても構いません。お風呂は痛みが軽くなるのを待って
からの方がよいでしょう。激痛がある時には、腰を温
めてはいけません。炎症が広がり、余計に痛くなるケ
ースがあります。

徐々に動けるようになり、歩行が可能になったら、次
は徐々に運動を開始します。

始めは簡単で腰に負担の少ないストレッチから始め、様子をみながら、内容、回数を増やしていきます。

A慢性腰痛のセルフケア

日常生活に支障の無い程度の慢性化した腰痛に対し
ては、腰の血行を改善して、硬くなった筋肉をほぐ
す意味で、半身浴などで腰を温めると良いでしょう。
市販の温灸を使ってツボ療法を試みても良いでしょ
う。
さらに痛みが軽い時は、腰のストレッチや腰痛
体操を始めて見る良い機会です。大事なことはやり
すぎないこと。継続して続けること。

痛みの強い時や、腰に負担をかける時以外はコルセ
ットに
頼らない方が良いでしょう。腰周囲の筋力を
付け、腰自身の支持力を付ける努力が必要です。

痛を発症させやすいリスクがある方は経験的に

@重い物を持つ機会が多い方

A肥満・不良姿勢(お腹が出て、出尻、反り腰)

B全身的にコンディションが優れない方(疲れやすい、倦怠感)

C深夜就労する機会が多い方

D運動習慣の無い方

といった処でしょうか。

後に
 腰痛はその性質や原因を把握して、それにあった治療をしていけば、経過は
良好で回復は早い症状ですが、中には別の病気の症状の一つとして腰痛が出現
するケースもあり、緊急的に手術を必要とする場合もあります。以下のような
症状が見られたら、至急専門医への受診をお勧め致します。

H16.10.22 特発性腰痛のページ Ver.1.00

こんな腰痛は危険!一つでも当てはまったら大きい病院か、よーく話を聞いてくれる信頼の出来る専門医(外科・整形外科:決して流行っている処が良いとは限らない、シッカリ見立ててくれる先生)への受診を!
@ 数週間(1ヵ月以上)に渡り、動かない時も腰痛がある。激痛のため満足に眠ることが出来ない。ジーッとしていても痛む
A 急激に体重が減った。体重減少の説明が付かない
B 発熱や悪寒を伴う腰痛。
C 癌の治療経験がある方。
D 失禁や頑固な便秘といった症状を伴う腰痛。
E 長期のステロイドを使用している方で、急性腰痛を発症させた。
F 階段から落ちたといった、外傷後の腰痛
G これまでに経験したことのない痛みや、随伴症状を伴う腰痛
腰痛のセルフケア

灸治療は、腰痛の原因となっている組織の炎症を抑え、痛みを軽減させる目
的で行われます。症状や体質により腰部・脚部の膀胱経・胆経・脾経・腎経とい
う経絡に所属する経穴や、脊柱起立筋・腰方形筋といった腰の筋肉などに対して
施術します。大体、急性の腰痛で
1
4回、慢性の腰痛では、5回くらいの鍼灸治
療で、腰痛の消失・軽減が認められます。大事なことは腰痛は初期のうちに、慢
性化させないうちに治療すれば治療回数も期間も本当に短くて済みます。腰痛は
我慢せずに早めの受診を心掛けて下さい。





  急性腰痛のセルフケア
@ 安静第一(2日程度)
A コルセットの使用
B

痛みが軽くなったら運動

ストレッチなど

※焦らないことが大事。
   慢性腰痛のセルフケア
@ 温める 温熱療法
A 運動 ストレッチ・腰痛体操
急性腰痛の方
腰痛体操@A
をご参考下さい。
慢性腰痛の方
腰痛体操
をご参考下さい。
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北秋田市住吉町4−10
「腰痛症」は医師の同意書があれば、健康保険の対象となる疾患です。