HD800とHDVA600を購入 (2017/3)


これはいい!・・・と言っていたFidelio X1はその後数ヶ月で売却し、 ここ数年はSRH1440+iアプリのAccudio+自作HPAで満足していたはものの、ついにHD800を買ってしまいました。それも専用ヘッドホンアンプとバランスケーブルもセットで。

きっかけはふと立ち寄ったオーディオ店でHD800+HDVD800を試聴したことです。HD800は4年程前に購入するつもりでショールームでじっくり聞かせてもらいましたが、線の細さと低域の薄さがネックで購入にいたらなかったという経緯があります。

その後、ゼンハイザーはHD800専用のヘッドホンアンプとバランス接続ケーブルを発売してHD800の真価を発揮させると、世のオーディオファンの絶賛を得・・・って本当かいな?とひやかし半分に聴いてみた訳です。

お店では自分のiPodのイヤホン端子からHDVD800に繋ぎ、専用のバランスケーブルCH800Sで聞きなれた音質比較用の数曲を聞きましたが・・・本当でした(笑)

まず驚いたのが音の実在感と空間表現。過去の試聴ではレイマンオーディオのBLACK CUBEでしたが、線の細さや低域の薄さが気になり、クラシックは良いけどJAZZやボーカルはイマイチの印象でした。

ところが、HDVD800+バランス接続で聞くと上記の弱点が感じられないどころか低域の量感もしっかりと有り、ボーカルの厚みも十分、しかも音場は更に広大ではありませんか。
ボーカルも遠すぎることなく、きちんと手前に位置しその奥に楽器が配置されるという理想的な奥行き感。よくWEBで話題になる周波数特性上の6KHzのピークも耳に刺さることはありません。

HD800をリファレンスにアンプの音決めしたというだけあってほとんど文句の付けようがありません。恐るべし専用アンプ+バランスケーブルです。
お店ではSRH1440と直接比較試聴した訳ではありませんが、全てのジャンルにおいて凌駕しているのは間違いない・・・という評価でした。で、「買うしかないでしょう」と天使のささやきが・・



久々に衝動買い。HPAはD/Aコンバータ無しのHDVA600で良いとしても全部新品で揃えるには高過ぎです。そこで特価品や中古でGET、ケーブルはさすがに新品しかなかったのですが、なんとか20万以下で揃えることが出来ました。

iPodのD/AとしてのAT-HA35iからHDVA600への接続用にRCA-XLRケーブルも買いましたが、今回はこれが一番安かった(サウンドハウスで1本378円)買い物です。





実はこのケーブル、「ヘッドホン出力では圧倒的にバランス接続が良いけど、入力側はアンバランスとバランスで音質差はあるのか?」という確認の為に買ってみました。

AT-HA35iの出力はRCAピンなので完全なバランス接続ではありませんが、実験してみるとRCAケーブル接続よりXLRケーブルの方が素直で透明感が良いのが判りました。
線材の差も考えられるのですが、それよりはるかに大きな音質差であることから回路的に差があるのかもしれません。いずれにせよエンジニアの意図したのは入出力ともバランスであることは間違いないようです。

いつもヘッドホンは寝る時に聞くことが多いのでナイトテーブルにアンプ類を押し込みます。こんな感じにすんなりと収まりました。



改めて自宅で聞いていると、アンバランス接続とバランス接続の差が明確に解ります。ひょっとしてSRH1440もバランス接続したら飛躍的によくなるのでは?と思ったが吉日、早速トライのポリシーを発動し、こんな風になりました。



HD800ほどの差ではありませんが(もともとケーブルが2mと短い)やはりバランスの方が奥行きや空間表現力が増しているのが解ります。とはいってもAccudioによる補正は必須なのでHD800を超える訳ではありません。
HD800と比べるとSRH1440+Accudioはドンシャリ気味で音場が狭いのですが、JAZZの熱気や打楽器のインパクト、ボーカルの色気や迫力と言った点ではHD800より優れていると感じます。

最大の美点は先にも書いたように音の実在感、空間表現、精緻さといったところでしょうか。この音に慣れてしまうと他のヘッドホンが頭の中で定位する不自然さが気になります。

よく「スピーカーで聞いているようだと」の評価が見受けられますが、スピーカーより部屋の付帯音やユニットの歪、位相ずれが無いのでクリアです。
ボリュームを上げても煩くなく、JAZZのライブやクラシック他、あたかもその場で聞くようなことが出来るのが最大の美点だと思います。

一方欠点として気になるのは、ケーブル(ライン、電源)やAC極性に敏感で気を使わなくてはならないことや、HD800のイヤーカップが大きい為(圧迫感が無いのは最高ですが)耳の位置によっては高域の特性が変わり、定位がずれたり、左右の耳の高域量の差が出やすい傾向があることです。

ドイツ魂なのでしょうか、耳の位置も正しい位置にしっかり置かないといけないような気にさせるのは(実際は大きな差ではありませんが)ちょっと窮屈なような気がします。

総じてHD800ではこれ以上の組み合わせは不要でしょうし、その気もありませんので又しばらくはこの組み合わせでオーディを楽しんでゆきたいと思います。

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