ミナミホホタケ Gymnopilus sp.  (2013年11月5日更新)







西表島ウシク森, 2012年4月1日. 写真: 和田貴美子氏

ミナミホホタケ (仮称) Gymnopilus sp.
(和名: 和田匠平君)

   肉眼的特徴: 傘は径25-60 mm, 最初半球形で縁部は内側に巻き, のち饅頭形; 表面は乾
性, 全体に小鱗片に被われ, やや吸水性, 均一に橙黄色〜淡黄色を呈する. 肉は傘の中央部
において3 mm 以下, 傘表面より淡色を呈し, やや肉質, 特別な匂いはなく, 味は不明. 柄は40-
60 × 2.5-5.5 mm, 円柱形, 根元に向かってやや肥大し, 中心生, 中実; 表面は小鱗片状, 乾
性, やや吸水性, 傘より淡色で古くなると暗色を呈し, 頂部はより淡色または類白色, ツバを欠
く. 根本の菌糸体は白色綿毛状. ヒダは直生, 密, L = 80-95, 幅1-3 mm, 最初淡黄色, のち橙
黄色; 縁部は平坦, 同色. 
  微鏡的特徴: 担子胞子は(4.5-)4.9-5.8(-6.6) × (3.2-)3.6-4.2(-4.8) μm (n = 103), 広楕円形
〜楕円形, 錆黄色, 表面は微疣に被われ, 偽アミロイド, アルカリ溶液中において橙色, 薄壁, 発
芽孔を欠く. 担子器は(16.2-)19.3-23.9(-26.9) × (4.7-)5.4-6.2(-6.7) μm (n = 41), こん棒形, 4
胞子性. 縁シスチジアは (22.3-)23.3-29.0(-34.7) × (4.2-)5.2-6.7(-7.5) μm (n = 34), 群生し, 
やや片膨れ状〜類円柱形, しばしば頂部が頭状に膨れ, 淡黄色, 非アミロイド, アルカリ溶液中
において帯黄色, 平滑, 薄壁. 側シスチジアは(19.4-)23.2-29.4(-33.2) × (6.1-)6.4-7.8(-9.0) μ
m (n = 41), 散生, こん棒形〜類円柱形, 無色または帯黄色の色素が液胞中に存在し, 非アミロ
イド, アルカリ溶液中において帯黄色, 平滑, 薄壁. 子実層托実質は円柱形の菌糸細胞 (径(5.8
-)8.5-14.0(-18.8) μm) がほぼ平列し, 淡黄色, 非アミロイド, アルカリ溶液中において帯黄色, 
平滑, 薄壁. 傘表皮を構成する菌糸は匍匐性で隙間なく配列し, 径(5.1-)7.5-11.1(-13.8) μm, 
帯黄色の色素が菌糸の表面をらせん状に取り巻き, 淡黄色, 非アミロイド, アルカリ溶液中にお
いて帯黄色, 平滑, 薄壁, 傘シスチジアはない. 傘実質は子実層托実質に類似し, 菌糸細胞は
径(4.8-)8.0-14.4(-20.9) μm. 柄表皮は傘表皮と同様で, 菌糸は径(5.1-)7.5-11.1(-13.8) μm, 
柄シスチジアを欠く. 柄実質は円柱形の菌糸細胞 ((22.3-)32.9-48.2(-53.6) × (9.9-)11.5-16.4
(-20.6) μm) が平列し, 淡黄色, 非アミロイド, アルカリ溶液中において帯黄色, 平滑, 薄壁. 根
元の綿毛菌糸体を構成する菌糸は柄の表皮組織に類似し, 径(4.7-)5.5-7.0(-8.1) μm; 末端細
胞は(14.1-)23.8-42.3(-56.7) × (5.0-)5.9-8.0(-9.0) μm, 円柱形, 未分化. 全ての組織において
菌糸はクランプを持つ. 
  生態: 林内材上に発生.
  分布: 日本(西表島).
  コメント: 本種の主な特徴として、小鱗片に被われた橙褐色の傘を持つ中型で肉質の子実
体; 疣状微突起を持つ卵状楕円形〜楕円形で偽アミロイドに染まる担子胞子; 頂部頭状形の
縁シスチジア; こん棒形〜類円柱形の側シスチジア; 材上性の生態などが挙げられる.
  長さ6 μm以下の担子胞子および発達した膜質のツバを欠く性質は本種がHesler (Hesler 
1969)の分類概念によるGymnopilusMicrospori節に属することを示唆している. 節内において
本種は北米の亜熱帯地域およびハワイ諸島に分布するGymnopilus subtropicus Heslerに最も
近縁と考えられるが, G. subtropicusはフラスコ形または片膨れ状の縁シスチジアを有するこ
と, 片膨れ状または円柱形〜こん棒形の柄シスチジアを形成すること, そしてアルカリ溶液中に
おいて赤褐色に染まる錯綜した傘実質の菌糸の特徴において本種と異なる.
  本種は兵庫きのこ研究会の和田匠平君によって発見され, 傘表面の質感が子どもの頬に似
ていることから‘ミナミホホタケ’と命名された.


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