タイトル: 嬌烙の館

メーカー: 13cm

評 価 : システム :C

グラフィック :D

ストーリー :B

音   楽  :C

総   合  :B

感想とか(ネタバレはコメントアウトしていますので、未プレイ者は見るな!)

 元長柾木ファンディスクとでも言えば良いんでしょうか。時系列は違うけど。

 いわゆる館ゲー。目が覚めてみるとどこかの屋敷の中で、記憶喪失になっていて、なぜか女の子のメイドアンドロイドが付き添っている。しかし、館に関する情報は何ももらえない。んで、仕方なく館を徘徊する、そんなゲーム。

 システム。マップが表示されて、そこをクリックすると移動できる。で、部屋にいる女の子達と話をする。女の子とセックスしたときの声を使うと、鍵のかかった扉が開き、物語が進む。時々出てくる謎かけや喘ぎ声合成の難易度は高くないけれど、面倒なので攻略チャートを見たほうがいいでしょう。まあ、このシステム自体が物語なので。

 絵。今風の萌え絵ではありません。個人的にはあんまり可愛くないと思う。背景とかは雰囲気が出てて怖いくらい。全体的に暗いです。

 音楽。曲数は少ないですが、雰囲気には合っててよろしいのでは。ほら、エンディング曲とか。といってみるテスト。

 物語とか。このゲームの大きな特徴は、主人公であるテツヤが「館エロゲーをやらされている」ことでしょう。2段落目にも書いた作為的で理不尽な境遇の中、館を徘徊して、意味もなく女の子に会いに行き、扉を開けるためという大義名分の元にセックスを繰り返す。しかし、なかなか外には出られない。その「やらされている感」にだんだん不快になり、最後には……\わけですけど。
 元長柾木の語り口はこの頃から健在で、例えば「脈絡なんてものは犬に食わせてやった。もっとも、犬がそんなものを欲しがればだが。」(うろおぼえ引用)など。この語り口調が、その「やらされてる感」を煽り、だんだんプレイヤーにも伝染していきます。またこのゲームでよく取り沙汰される“哲学用語の頻出”ですが、あんまり本質的には関係ないと思います。適当にフーンと流しながら、その衒学的な文章の上っ面を楽しめばよろしいでしょう。

 そんな中の名台詞。
「……ねえ、わたし、いく、いっちゃう!」
 好きにしろ!
「……あ、あああああっ! い、いい、いく……!」
 いちいち申告するな!
 それはともかく。そんな館ゲーの最後には、ギャルゲー史上類を見ないほど馬鹿げててトンデモで見も蓋もないオチが待っています。ていうか\。このオチを予想することは、Ever17のそれを予想するより難しいと思われ。だって\…とぐったりしたのは私だけじゃないと思いたい。

 そんなこんなで、どんでん返しでメタフィクションでエロゲについて考えることが好きな人はぜひやりましょう。つーか元長信者にお薦め。まあ、元長信者以外がこれからこのゲームをやろうとは思わないでしょうが。