『OUT』   桐野夏生



映画化されるというまで、名前で敬遠していた作家さん。多分、銀色夏生さんのイメージからだと思う。
詩はあまり好きじゃないので・・・・・。
 夜勤の弁当工場、というあまりに生活くさい設定に何度か買わずに通り過ぎたけれど、買ってからは一気に読み終えた。とにかく、人物描写がうまい!!小説にありがちな、クサイ成り行きなどなくて、この生活を私がしていてもそうなるかもしれない・・・と思わせられる。
 誰に一番近い人間か、自分で考えるのはいいけど、「あの人は、雅子さんていうより、弥生タイプだね」とか言われてたら、いやだなぁ。
とにかく、脇役一人一人までも文字から抜け出してくるような人間くさい描き方に惚れてしまった。

これから、桐野夏生さんの本を少しづつ買っていきたいと、楽しみになった。




『鎖』    乃南アサ

「凍える牙」の続編みたいなのが出たよ〜〜って聞いてから
だいぶ経つまで忘れていました。
図書館で出会えてよかった1冊。
働く女性なら、いろんなところで共感を持ってしまうだろう女性、
音道貴子巡査長。彼女にまた会ってしまった。少し幸せで、そして変わらない彼女に。
内容そのものよりも、今回は、彼女の内面がストーリーのキィになっているようだ。それにしてもツクヅク、本人の立場からすると同僚に恵まれてない人だ。(本当はそうでもないんだけど、彼女の主観からすれば仕方ない)
それにしても、乃南アサという人は、音道さんをどうやって生み出したんだろう。残念ながら、乃南さんの、「**の花嫁」シリーズ(?)とかはちっとも心に残るのはないのに、音道さんのお話しになると、読んだあとまで感情が揺さぶられてしまうのはなぜだろう。


羊が丘』  三浦綾子
『天上の青』 曽野綾子
『模倣犯』  宮部みゆき

甘えた男もの3つ。
『羊が丘』は私の大好きな三浦綾子さんのもの。彼女のほとんどが
そうであるように、主人公の奈緒美はキリスト教だ。
3つに共通するのは男の浮気やレイプ。自己を肯定する甘さ。
時代の流れだろうか、上のものから順に残虐性をまし、(羊が丘には残虐なところはない)犯罪性が増す。
どの話の中の男も暗に家庭での成育歴に問題があるとかかれている
ように感じる。たしかに家庭教育の軸になるのは母親で、異性の
男の子を育てるのは難しいのだろう。息子を持つ身としては、こうならないように努力するのみである・・。


My First Library

一維のために買った初めての絵本。
頂いたものはあるのだけど、自分
で選んだ最初の絵本。
12冊セットで1冊は5ページだけ。
物の名前(英語)や形。
写真がポップでとってもキュート
なのでとっても気に入っている。







お化け屋敷

金額が3000円とお高いので
学校の厚生会でもらう図書券で
購入。まだ一維には早いけど、
飛び出す絵本なのです。しかも
かなり凝ってて、私が一目ぼれ。
でも、すぐにビリビリにされるん
だろうなぁ。






















































『Killing Me Softly』 優しく殺して  
    ニッキ・フレンチ


2002年春に公開された映画の原作版。サスペンスは映画を見るより本で読むほうが好き。映像では表し切れない、心の微妙な動きなども知ることができるから。そして、映画では怖いだけの映画も、本で読むと、哀しかったり、ユーモラスだったりするから。  
 衝撃的で、強烈な恋の始まり。女性で憧れないヒトがいるだろうか。しかも、相手は『恋におちたシェイクスピア』のジョセフ・ファインズ。 交差点の真ん中で数インチのところで見詰め合う二人。同棲中の恋人と何も問題なくやっているのに、何も知らない男にどうしようもなく惹かれていく。何もかもを捨てて、自分に崇拝的な愛を注ぐ男の下に走った彼女も、強すぎる愛の視線に不安を覚え、彼の過去を知りたがるアリス。強烈に愛されている事を自覚しながらも、疑惑を追究してしまうことを止められず、とんでもない事実に直面していく・・・。  
 全てが解決した彼女は、生きている。しかし、二度とあれ以上に自分を愛してくれ、自分も愛する事ができる男が現れる事がないことを知っている。窓の外の通行人に微笑を返しながら、彼女の絶望は果てしなくひろがる・・・。
 こんなにも哀しい愛の終わりを読んだ事があるだろうか。でも、こんなに激しく愛された彼女がうらやましく思えてしまう。知ってしまえば失ってしまう。失わなければ良かったのだろうか。この本を読んだ後の喪失感はどこからくるんだろう・・・。
『Harry Potter and the philosopher' stone』
J.K.Rowling


久々の洋書。始めは電子辞書を片手に読んでいたが、後半は辞書なしで。読むスピードがUPすれば、おもしろさもUP。とても簡単な英語で書いてあり、ほとんど悩まずに読め、尚且つちょっとした表現なんか、「なるほど、こういう英語を使うのか〜」とか、勉強にもなります。さすがに売れているだけあって、大人でも楽しめるファンタジーでした。「最近は子供向けの映画や本を、一緒になって喜んでいる、大人になりきれない大人が増えている」と、お怒りの先生もいましたが、私は大人が読んでも楽しめるお話だと思いました。シリーズ全部を読破しようとは思わないかもしれないけど、とりあえず2巻は買いましたよ(^.^)ノ



『凍える牙』
   乃南アサ


猫好きの私が、思わず「この犬ほしい!」と思った一冊。オオカミの血をひく、『ウルフドッグ』。切ないまでの主人への忠誠心とごくわずかな人にしか心を開かない一徹さ。事件の暴かれていく様もハラハラドキドキでしたが、それ以上に仕事に打ち込みながらも孤独を抱える主人公とウルフドッグの心の通い合う一瞬の描写には、鳥肌がたったほどです。



『クロスファイア 』
 宮部みゆき  


  宮部みゆきの本をほどんど持っている私の一番のお気に入り。『鳩笛草』という短編集のなかの『燔祭』という話の続編としてかかれた長編小説ですが、私は順序が逆になってしまいました。「パイロキネシス」という念力放火の力を持つ女性が、自分の力を正しく使いたいという願いと信念から、事件に自ら巻き込まれ、影の組織とつながり、大きな力に飲み込まれるようにして哀しい結末へとむかっていく・・・。 この本を読んでから、満員電車のドア際に立っているときは、つい、人差し指に意識を集中してガラスをなぞってしまう私です。



『動物のお医者さん 』
佐々木倫子 


  ほとんど漫画は買わない私が、全巻(12巻!)持っている、いやし系(?)まんが。疲れたときは適当にてにとって読んでしまう。そして、すみずみまでじっくり読んで、鋭気を養っています(?)動物たちの表情がとてもおもしろくて、「この顔、○○先生に似てる〜」とかひそかに思って楽しんでいます。きっと、身近な誰かの顔が見つかると思います。



『うつくしい子ども』
 石田衣良  


神戸で起きた酒鬼薔薇事件をモチーフにした小説。
「本が私に憑りついた」そんな感想を持った一冊。ただの推理小説ではなく、本の帯に犯人は堂々と明かされている!犯人探しを楽しむ小説ではないのだ。中学生の心のねじれ、成長、社会の求めるものとは何か。いろいろ考えさせられた。それ以上に吸い込まれるように読み上げてしまった。作者は「池袋ウェストゲートパーク」を書いた人だ。



『スカーレット』
   アレクサンドラ・リプリー 
森 瑶子訳


『風と共に去りぬ』の続編の権利をリプリーさんがマーガレット・ミッチェルさんの遺族から買い取って書いたもの。大好きな、森瑶子さんが訳されたと言う事で、是非欲しかったのだが、4800円という高価に躊躇っていたところ、彼氏(今のダンナ)がプレゼントしてくれた一冊。
『風と共に去りぬ』も、よかったけれど、それ以上にゴージャスでグローバルな展開になっており、前作で触れるだけに留まった、スカーレットの親類や、レットの家族が出てきて、内容も時代を含めて大きく膨らんでいる。それに、何よりスカーレットが生き生きと描かれており、ミッチェルさんが描いた彼女以上に人間味あふれているように思う。森瑶子さんのあとがきに、著者はスカーレットが好きではないと言っているが、森さんなりに話の筋を変えはしないが、スカーレットを愛しつつ訳してみたいと思い、自ら訳編に名乗りをあげられたことがが書かれており、非常に感激したものである。あまりの長さに読み返すのにも決意がいるが、読み出すと何度目でも止まらなくなり、最期には号泣してしまうのである。ああ、レット・・・!






読んだ。