ヒガシジャーナル(2017年8月号)

勉強の位置づけ

成績が上がらない原因を考えてみる

 成績が上がらなくて悩んでいる生徒はたくさんいると思いますが、その原因を考えてみると、下のように分類できることが分かります。
    @そもそも勉強をほとんどやっていない。
    A勉強はしているが、やり方に問題がある。
  今回は@の場合について話を進めていきたいと思います。(Aに関しては、効果的な勉強方法を次回詳しく解説します)
  勉強をしない(または勉強する時間がない)原因もいろいろあると思いますが、特によく聞くのがテレビやゲームや携帯電話で遊んでしまうというものと、部活が忙しくて勉強時間がないというものです。 では、詳しく見ていきましょう。

テレビ、ゲーム、携帯電話

 テレビやゲーム、携帯電話などの娯楽ツールが子供達を惹き付ける力は、恐らく大人たちが思っているよりずっと大きいのだと思います。「ゲームばかりしてはいけないと、頭では分かっているけど、目の前にあるとどうしてもやってしまうんです」「ほんの少しだけ携帯電話を見てから勉強しようと思っていたのに、気が付くと長時間やっていた」・・・携帯電話などへの依存に苦しんでいる生徒の言葉を聞くと、大人にとってのタバコやお酒と同じような中毒性があることが分かります。携帯電話を持っていない生徒に、持たない理由を尋ねたところ、「周りの友達がみんな『勉強しないといけない時に携帯電話を我慢するのが辛い』と言っているから」という答えがありました。「持たなくて済むなら持ちたくない」と言う生徒もいました。携帯電話やゲームなどとの付き合い方に苦労している友達の姿を見て、便利さや楽しさだけでなく、中毒性や怖さもあるということを感じ取っているのでしょう。
  とはいえ、大多数の子供がゲームや携帯電話などを持っている時代です。持っていない人はそれでいいかもしれませんが、すでに持っている人は今さら手放すことも難しいのではないでしょうか。となると、問題はそれらとどう接していくかということになります。使用時間を制限し、それを確実に守らせることが必要になってくるでしょう 。

部活

 勉強をやらない理由の1つに、部活の忙しさを挙げる生徒もたくさんいます。この場合心配なのは、「わざと勉強をさぼっているわけではなく、部活をやっていて本当に時間がないのだから、勉強できなくても仕方ない」と生徒が本気で考えていることがあるという点です。勉強と部活の重要度が同程度、または部活のほうが上になってしまっています。部活で時間が取られているから、皆よりもっと勉強の努力をしないといけないと考えるのが理想なのですが、そのような発想ができる生徒は意外に少ないのです。
  部活を一生懸命に頑張ることは、とても有意義だと思います。しかし、それにはある水準の成績を維持できているという条件が付いているはずです。実際、成績が悪ければ部活は禁止で補習を受けさせるという学校が昔はよくありました。今でもそのような方針で指導している顧問の先生もいるようですが、あくまで個人レベルでの対応でしかなく、学校全体の取り組みにはなっていないようです。
  勉強と部活のバランスを、冷静に考える必要があるのではないでしょうか。

意識の刷り込み

 このように、携帯電話やゲーム、テレビ、部活などは、勉強にとってマイナスの要因になることがあります。しかし、だからといって単純にこれらを排除すれば成績は上がるかといえば、答えは「NO」です。テストの点数が悪いから部活を辞めさせたとしても、「部活がなくなって空き時間ができた。だから勉強しよう」というように上手くはいきません。むしろ部活を辞めさせられたことに不満を持ち、一層勉強から遠ざかってしまう恐れもあります。携帯電話やゲーム、テレビなども同様です。
  ただ、携帯電話や部活などは、それ自体が悪いのではありません。成績が上がらないのは、本人に勉強しなければいけないという意識がないことがそもそもの原因であり、ここを改善しない限り問題は解決しません。
  勉強の意識というのは生まれつき持っているものではなく、成長とともに刷り込まれていくものだと思います。刷り込みというのは、理屈抜きに「そういうものだ」と納得できる状態のことです。例えば、「学校はさぼらず登校するものだ」という刷り込みがしっかりしていれば、少なくとも登校・不登校の部分に関しては悩む必要がありません。宿題をやるという刷り込みが不確実な生徒は、時々宿題をやらずに叱られたりします。宿題はきちんとやるがそれ以上の自主学習はやらないという生徒は、少なくとも「宿題はやらないといけないものだ」という刷り込みは定着していますが、その上の段階までは達していません。要は、刷り込みのレベルを徐々に上げていって、宿題以外にも勉強するのが当たり前という意識を持つことが重要なのです。そのためにはやはり、本人も周囲も成績に関心を持つこと、勉強が優先されるという姿勢を示すこと、勉強をやるのが当たり前なのだということを何度も確認すること、などが大切でしょう。