鑑 賞 日
作 品 名 |
鑑賞劇場名 |
評 価 |
公式HPへ |
9月25日(木)
『柘榴坂の仇討』 |
鶴岡まちなかキネマ |
|
|
<評 論>「これぞ正統派時代劇」といえる素晴らしい作品だった。浅田次郎原作という時点で面白いのは間
違いないし、監督は「沈まぬ太陽」などの若松節朗で、音楽は久石譲。そして何よりも、幕末の前後で揺れ動
く武士の生きざまを繊細に演じた中井貴一、阿部寛の両雄が実に素晴らしい!!主君・井伊直弼を目の前で暗
殺され、切腹も許されず、13年もの間仇を追い続ける志村金吾と、暗殺犯の最後の生き残り佐橋十兵衛。2
人はついに柘榴坂で剣を交えるのだが、最後は武士らしく死ぬのではなく、これからの人生を生きていくこと
を決意する。お互いに支えてくれる妻や慕ってくれる女性がおり、その人たちのために生きていくことを選ん
だ結末には、とても清々しい気持ちを感じた。終始淡々と物語が進んでいくし、見映えも地味なことから、退
屈だったというレビューも多いようだが、私個人としては、じっくりと、しっとりと、心に沁みるいい映画を
観れてとても良かった。ただ一点、広末の演技は良かったが、カツラが似合わないのが最後まで気になった。 |
8月18日(月)
『STAND BY ME
ドラえもん』 |
鶴岡まちなかキネマ |
|
|
<評 論>ドラえもんやのび太たちの立体感や、ひみつ道具の表現力、タケコプターのスピード感など、さす
が3DCGといえる素晴らしい内容だった。笑いどころは子供も大人も笑える表現だったし、感動的な場面は
老若男女ジーンとさせられるものだった。これまでの大長編とはまた違った今回のドラえもんであるが、幅広
い年代が楽しめる点では共通しているし、さすがに「ドラえもんブランド」自体が確固たるものなので、相当
におかしく作らない限りは駄作とはならないんだと思う(ゆえに賛否両論渦巻いているようだが・・・)。マ
イナス点を考えると、原作の名作を詰め込んでいることから結末が分かってしまっていることや、詰め込みす
ぎて中途半端感が否めないこと、トヨタやパナソニックの看板(宣伝)があからさまでやや引いてしまったこ
と、などだろうか。”ドラ泣き”とまでは泣けなかったが、心が温かくなる良作だと思う。星4つとする。 |
8月11日(月)
『思い出のマーニー』 |
鶴岡まちなかキネマ |
|
|
<評 論>幼い頃に両親を亡くし、親戚に引き取られた杏菜。喘息を患っており、心身ともに暗い過去を宿し
ている。そんな彼女が夏休みの間に療養のため、自然豊かで空気のきれいな釧路のおじ夫婦の家に預けられて
から、様々な不思議な体験をする。途中では、「マーニーは何者なのか?」「マーニーと杏奈が出会う場面は
幻なのか想像の世界なのか、過去の世界なのか?」と疑問を抱いたまま観ていたのだが、最後に2人の関係・
結びつきが明らかになると、驚きと同時に、嬉しさや清々しさを感じさせてくれた。アリエッティに比べると
地味ではあるが、米林監督を代表する立派なファンタジー作品として評価されていい作品だと思った。あと、
湿っち屋敷に新たに住むこととなった家族の娘・さやかがナイスキャラクターだ。星4つとする。 |
7月10日(木)
『ブルージャスミン』 |
鶴岡まちなかキネマ |
|
|
<評 論>アカデミー賞主演女優賞の受賞がとても納得できる、ケイト・ブランシェットの怪演だったと思う
。セレブの頃の自信満々なたたずまい、転落してからの情緒不安定な様子、そしてラストシーンの、ノーメイ
クで、意識朦朧で、幻覚を見ているような、絶望感漂う表情は、人生の絶頂から絶望まで転落した女性の姿を
見事に表現していた。妹役のサリー・ホーキンスの演技も素晴らしく、セレブな生活が人生の幸せと感じる姉
とは対照的に、お金が無くても好きな人と一緒であればそれが幸せという女性を見事に演じていて、幸せの形
や価値観というものは、人それぞれの感じ方・考え方で異なるのだということを分かりやすく伝えていた。た
だ個人的には、ラストシーンの後に、彼女がそのまま転落していくのかまた登りつめるのかの結末が見たかっ
たので、そこが物足りなかった。観客それぞれに考えさせるための手法だったとしても。星4つとする。 |