長期研修へ行かれる方へ
埼玉県では長期研修という制度があります。希望者が論文,面接選考を経て1年間,大学や総合教育センターなどへ行き,研修ができるという制度です。私も平成14年度に東京芸術大学音楽教育研究室へ研修に行かしていただきました。長期研修に行くと,たいていの人が論文を1冊の研究冊子にまとめます。ここでは,その論文について述べたいと思います。
1 論文の書き方
教員のほとんどは,せいぜい研究協議会のレポートや指導案ぐらいのものしか書いたことがないでしょう。学術論文は大学の卒論の時に書いたと思いますが,そのような素人の書く内容ではなく,プロとしての教師が書く論文として,充実した内容であり,学問として新しい提案を含むものでなければなりません。さらに,論文にはその作法があり,きちんとした論文を書くには,論文を書くための学習が必要となります。長期研修に行くことは,半年以上前には決定しているわけですから,研修に出る前にその学習をすましておくことが理想です。それが間に合わなくても,研修に出て,5月頃までには,論文の書き方に関する文献を3〜4冊は読んでおく必要があります。次にいくつか参考になる文献を載せておきます。
清水幾太郎『論文の書き方』(岩波書店,1959)
論文のノウハウとして古典的な本で,あまり役に立ちません。大学の古い考えを持った教授だとすすめるかも知れません。
小林康夫・船曳建夫編『知の技法』(東京大学出版会,1994)
研究の考え方,論文の作法がわかりやすく書いてあります。様々な人がそれぞれの視点で書いていますので,必要なところだけ読むだけで参考になります。特に最期に載っている文献の引用の仕方などの作法は,手放せませんでした。
花井 等・若松 篤『論文の書き方マニュアル』(有斐閣,1997)
ぼんやりとした研究テーマから,だんだんと具体的な研究へとすすめている方法がわかりやすく解説されています。私は1年間手放せませんでした。
論文とは,新しい真理を提案する文書ですから,単なる感想や過去の研究のまとめでは論文とは言えません。過去の論に則って,自分の考えがどれだけ論理的に述べられているかでしょう。
2 1年間のスケジュール
長期研修に行く思惑は様々だと思うのですが,私としては,せっかく1年間そのような機会を与えられたのだから,研修つまり,論文を書くことをとにかく優先してほしいと思います。1年経っても,まともな論文一つ書けていないなどはやはり論外です。論文の書き方を学び,論文により新しい提案を教育界にしていくことが使命だと思います。そういう意味では,大学へ研修に行くと,教授は論文のプロですし,自分の時間も多いし,最適かなと思います。
僕の行った東京芸術大学は,6月が終わると夏休みで,次の授業は10月でした。その間に,論文の中心部分を作成することができました。目標は,夏の間に論文の骨子ができあがり,11月頃までに検証授業を行い,1月までには論文を書き上げる。これがだいたいのスケジュールです。
ですから,夏休みだろうが,土,日だろうが1年間休みはなかったというのが長期研修の印象です。実際の話,これなら,現場にいた方が楽だったかも知れないとも思いました。
3 その他
長期研修に行った方は,学校での研究,修養の先陣を切ることが求められています。特別に時間を与えていただいたのですから,普通の教員と同じことをやっていたのでは,長研に行った意味がありません。ぜひとも校内研修などで活躍してもらいたいのと,新しい学校づくりで様々な意見を発言してください。それが長期研修に行った方の学校での役割だと思います。
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