生徒が主体的に学習に取り組む音楽科授業
 主体的に音楽を聴いたり,表現したりすることは最も基本的な音楽活動である。生徒は鑑賞によって音楽のよさを自分の中に取り込み,表現によって自分のよいと感じる音楽を発信するようになる。このように音楽科授業は生徒が自ら主体的に音楽活動に取り組むことを覚える場である。

 教師の指導スタイルによっては音楽科の目標を達成できないことがある。指導者が演奏技能を向上させることだけに偏った方法で指導した場合などがそうである。この場合生徒の演奏技術は向上しても,肝心の「豊かな情操」は育たないかもしれない。演奏技能の向上を指導者が生徒に強いてばかりいると「音楽を愛好する心情」が育たず「音楽に対する感性」も豊かにならないだろう。学校行事や様々な音楽会での演奏の成果は当然気になるが,高い技能で演奏した生徒全員が生涯にわたって音楽を愛好するかというと必ずしもそうではない。

 音楽科は様々な教科の中でも生涯にわたって愛好する興味を育てられる可能性がある教科である。生徒は授業で音楽に対する様々なアプローチのしかたを学ぶ。音楽科授業は音楽との出会い方とその追究の仕方を学ぶ場である。生徒が大人になっても音楽と様々な方法でつきあえるような心情を育てることが重要なことであり,授業の成果はその時点で達成できるといえるだろう。

 生徒の演奏のよし悪しにこだわらず,生徒が新しい体験をして新しい自分に気づく。それが音楽科の授業である。

ボディパーカッションの演奏場面(ビデオ)

授業の紹介
「東西ドイツ統一での第9交響曲」
 第2学年 鑑賞
第2次世界大戦の後,ドイツは東西に分割されてしまう。その中でも特にベルリンは2つに分散され,ベルリンを囲む壁が統一により崩壊されたのは象徴的な出来事であった。その東西ドイツが統一される前夜の儀式的音楽会に選ばれたのはベートーヴェンの第9番交響曲であった。国家のアイデンティティに関わる重大な演奏会にドイツ国民はベートーヴェンを選んだ。その意味とその演奏を鑑賞する。
「シューベルトの未完成交響楽の謎」 第1学年 鑑賞シューベルトの歌曲はあれだけ親しまれていたのに,なぜ貧乏暮らしをしていたのか?また,未完成に終わった交響曲はなぜ,途中で作曲がやめられたのか?シューベルトの生活,恋愛,友情などを追求する。
「言葉による音楽」(指導案,ビデオ)
  言葉のリズム遊びによる創作
 第1学年 選択
「魔法のフルーツバスケット」という教材をもとにして,言葉と手拍子の掛け合いによる曲をつくる。
ギターや三線を使った授業音楽科教師はピアノが命と思っている人もいるが,教師のギターなどでの歌唱指導は生徒と対面し,また教師が生徒の間を動くことができる。そんな授業の提案。
音楽鑑賞といえば,CDやLDやDVDであるが,最近,音楽を聴くのはMP3プレーヤーが増えてきた。また,パソコンによる音楽鑑賞も各家庭内では増えている。それを音楽室で実施しようという提案。
選択教科は「合唱コース」「器楽コース」などの一つの単元で実施することが多かった。しかし必修教科よりも選択の方が授業時数が多い学年もある。そこで様々な活動を取り入れた選択教科の開設と,教科通信の発行に関する事例を紹介する。
「これからの器楽 つくる喜び,音を奏でる喜び」 ー篠笛と尺八の製作と演奏の授業を通して (音楽之友社,「教育音楽」中・高版2004年8月号に掲載)いわゆる水道管篠笛,尺八の授業の実践事例。
「アルトリコーダーを吹こう」(ワークシート)
 第2・3学年
器楽合奏を目指さず,個人で曲を練習し,できるだけ多くの曲が吹けるようになることを目標とする。教師が全体指導で曲の練習に取り組ませるのではなく,生徒が自分で曲を把握し,練習し,教師のところに来て吹く。
「歌から感じ取れるもの」(指導案)
 第3学年
生徒は,楽曲の練習に取り組み,その音楽の構造的側面(旋律やリズムなどの構成要素と速度や強弱などの表現要素)を把握していくことで,技能的に向上する。それと同時に音楽による感情やイメージの創出,楽曲の雰囲気の味わいなど感性的側面に関する体験をする。その体験に注目し,「感性的側面を養う」ということが本題材の趣旨である。
「ハモネプをやろう」(指導案・ビデオ)
 第3学年
ア・カペラの取り組み。ハモネプというのはテレビ番組による造語だが,わかりやすいのでこの言葉を使っている。一パートをグループで行うという「合唱ハモネプ?」の取り組み。
「パターンミュージックを作ろう」
 第3学年 選択
4つから8つ程度の音を組み合わせ,単純なパターンを数種類つくる。それをくり返し
音楽を構成する。
「隠された歌詞 浜辺の歌」
 第2学年
「浜辺の歌」を聴くとのんびりとした日本的情緒が感じられるが,実は浜辺の歌には教
科書に載っていない「3番」がある。その歌詞を読むと浜辺の歌は強い存在感と哀愁が
感じられる。なぜこの3番の歌詞は教科書に載せられていないのか?それを考察する。
「悲劇の作曲家 滝廉太郎」
 第2学年
「荒城の月」を作曲した滝廉太郎は,なぜ23歳で亡くなったのか?ドイツ留学の経緯や
結核の発病などの事実をもとに,滝廉太郎の心情を考える。
「ボディパーカッションで音楽づくり」
(画面上部にビデオ)
 全学年 (上写真)教育音楽8月号(音楽之友社,2003年)にて紹介
手拍子,足拍子,ひざをたたいたり,身体をたたいて音楽をつくる。楽器の演奏技術や楽典の知識など何もいらない。生徒は簡単に楽曲をつくることができ,驚くことが多い。
「自分の好きな音楽を紹介しよう」
 第2,3学年
自分が好きで聴いている音楽を他の人にそのよさを伝える授業。その音楽の何が魅力で,どこが好きなのかを具体的に発表できれば,他の人もその曲を好きになるかもしれない。そうなるように楽曲を分析し,説明するという「鑑賞」の授業。
「獅子舞を体験しよう」
 第1学年
小川町下里に伝わる獅子舞を体験するという授業。獅子頭をかぶり,太鼓をたたき,ささらをする。本物に触れ,郷土の音楽のよさを感じ取る。
「赤とんぼの謎」 
 第1学年
「赤とんぼ」の歌に出てくる「ねえや」とは誰か?そのねえやとどのような出会いがあり,
どのような別れがあったのだろうか?両親はどのような人だったのか?赤とんぼをつくった作者の心情は「懐かしさ?」「悲しさ?」「悔しさ?」。メロディと歌詞のイントネーションの
くい違いの謎等。
「みんなでアンサンブル」
 第2学年
グループアンサンブルの取り組み。生徒が自由に選曲し,生徒が楽譜を準備・作成し,
楽器を決定し,練習計画を組み,練習し,発表した。
「○○風音楽をつくろう」
  第2学年 選択
「日本風」「沖縄風」「バロック風」「ポピュラー風」などの音楽の特徴を分析し,その特
長を生かした曲を創作する。コンピュータを活用した創作の取り組み。
「日本音楽の謎を探る」
 第1学年
日本古来の曲を聴くとなぜ日本風と感じるのだろう?と,いうことをテーマに音階の分析,
楽器の材質,日本音楽家の地位などを探る。雅楽の楽器分析と雅楽の特徴を考える。
「チェロと津軽三味線」 
 第2学年
J.S.バッハの「無伴奏チェロ組曲」と高橋竹山の「津軽じょんがらぶし」を聴き比べそ
の共通点と相違点を考える。どちらも弦楽器独奏であるということからその表現の共通
点とよさを味わう。
「ビートルズとその時代そしてレノンのメッセージとは」
 第3学年
ビートルズとはどのようなバンドだったのか?ベトナム戦争,ドラッグ,ヒッピームーブメント
などとビートルズの活動の関連。ジョン・レノンのメッセージとは?なぜジョン・レノンは
殺されたのか?9.11同時多発テロ後のニューヨークで「イマジン」が一時的に放送禁止に
なったが民衆が公園に集まって「イマジン」を歌ったのははなぜか?
「わらべうた」の真実
 第1学年
「かごめかごめ」「とうりゃんせ」などはなぜつくられ,全国に広まっているのか?
歌の真の意味は何か?江戸時代の恐怖政治と庶民のささやかな反抗を考える。
「歌謡曲を歌おう」(ビデオ)生徒が慣れ親しんでいる歌謡曲を数曲準備し,教師がプレゼンテーションしてから,自分の好きな曲を選び,歌う。



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