419系は、寝台特急の581系電車の改造によって誕生した近郊型電車。581系は夜は寝台特急、昼は昼行特急に使用できるように、座席を寝台化することが出来るようになっていた。ところが、その仕様ゆえに座席を回転式リクライニングシートにすることができず、シートピッチの広い固定式クロスシートとなっていた。シートピッチや座席の傾斜角度が優れているとはいえ、昼行特急に使用するのに固定式クロスシートではさすがに難があり、国鉄末期には余剰が発生して
いた。
一方、北陸地区では国鉄末期、電車化による高頻度運転を実現するため、多数の車両を必要としていた。ところがもともと存在していた急行型電車だけでは車両が足りず、追加で近郊型電車を新製する必要があった。仙台地区に新製投入されていた417系電車は雪対策がなされ、北陸へ投入しても支障がないようになっていた。しかし国鉄の膨大な累積赤字により高価な交直流電車を新製する余裕はなくなり、それ以降の北陸の近郊型は既存車の改造によって賄われることになった。

そこで余剰となっていた581系電車が目をつけられた。419系はもともと固定式クロスシートであり、改造は最低限にされた。改造は、松任・土崎・小倉の国鉄工場で行われ、改造箇所は吊り革の設置、セミクロスシート化とロングシートの増設、扉の増設、窓の一部ユニットサッシ化、一部トイレの閉鎖、そして中間電動車の運転台取り付け(俗に言う食パン化)などである。タイフォンは原型の他にスリット型、半球型などのバリエーションが見られた。

改造当時は8〜10年程度の使用を見越して行われた。ところがJR化後も車両新製の余裕はなく、結果的に改造から2011年3月改正まで使用された。晩年は老朽化が進行し、貫通扉の埋め込みなどの補修が行われた。元特急車であるため着席時の乗り心地は良かったものの、座席定員が少ないことやドアが狭いことが災いし、車内の混雑や乗降に時間がかかることなど様々な問題が発生した。またギアを101系のものに交換しているため走行性能が低く、他系列のスジに載せられないことも大きな問題であった。2006年から新型の521系が登場し、419系は全廃された。

編成
米原←→直江津
クハ418-モハ418-クモハ419 (D1-10編成、食パン型クハ)
クハ419-モハ418-クモハ419 (D11-15編成 月光型クハ)

貫通扉を埋め込まれる前の姿 食パン電車として親しまれた。車両限界一杯に作られている車両なので、断面は迫力がある。


ほくりく光速鉄道