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489系特急型電車は、先に登場していた485系特急型電車をベースに、碓氷峠をEF63型電気機関車と協調運転できる仕様として登場した。碓氷峠は長野県と群馬県の県境にあり、そこを通っていた信越線は急勾配のため、EF63を補機として連結しなければいけなかった。ところがEF63型だけの力でが長大編成を押し上げると列車が脱線してしまう危険があるので、列車は8両編成までに制限されていた。しかし長野・北陸方面の特急列車は8両編成では輸送力不足であった。そこでEF63から電車を総括制御し、電車と機関車の双方の力で運転する「協調運転」が考案された。これに対応した北陸特急用の特急型電車が489系である。番台変化はボンネット車の0(500)番台、貫通型の200(600)番台、非貫通型の300(700)番台であり、それぞれ485系の100番台、200番台、300番台がベースとなっている。

登場時から特急白山をはじめ、他の多くの北陸特急にも使用された。しかし1997年の北陸新幹線長野開業により、事態は大きく変化した。平行在来線である長野県内の信越線がJRから切り離され、しなの鉄道に移管された。また横川〜軽井沢間は先述の通り、列車の運行に特殊な取り扱いが必要になることから、列車運行の費用対効果を勘案した結果、廃止されることとなった。これによって特急白山は廃止され、489系の特殊装備を生かせる区間はなくなった。特急雷鳥用の485系編成の中に数両の489系が混ざっている例はあったが、489系のみで組成された編成は金沢運転所に残るのみとなった。

2003年に特急雷鳥から485系ボンネット車が引退して以降、金沢運転所の489系ボンネット車で運転されていた急行能登号は注目を浴びることとなった。国鉄色の9連や6号車に連結されたラウンジカーも貴重な存在であった。しかしながら格安ツアーバスの台頭による夜行列車の利用率低下、そして車両の老朽化により、2010年3月のダイヤ改正で急行能登号は廃止された。その後、2011年に特急雷鳥が廃止されたことにより、すべての489系が廃車となった。


特急 急行
白山 能登
はくたか
雷鳥
しらさぎ
北越
加越




リバイバルはくたか号は、2007年の9月15日と16日に金沢〜上野間で運転された。特急列車ではなく、団臨扱いでの運転だった。写真は上野・金沢側の先頭車で、青い絵のヘッドマークが付けられている。長岡側はページ上のような文字のヘッドマークが掲出された。 ふるさと雷鳥号は多客期に大阪〜新潟間に設定されていた臨時特急。以前は定期雷鳥と同じ、向日町の車両が使われていたが、晩年は金沢運転所の489系が使われた。ヘッドマークは臨時表示だった。
大阪(上野)方先頭車はEF63型と連結するため、連結器が露出しているほか、ジャンパ栓などが特徴的である。臨時ヘッドマークは上のものと少し異なっている。 681系に故障が生じた際、定期列車のはくたか号において489系が代走する姿が見られた。ヘッドマークも用意され、増発列車にも使用された。現在は683系4000番台が代走に使用されている。
定期列車としては最後にボンネット車両が使用されていた急行能登号。かつての特急はくたかと同じ、金沢〜上野間を結んでいた。特急白山と共通運用されていたが、白山の廃止により能登号が最後の働き場所となった。2010年3月改正で急行能登は廃止となり、同時に489系ボンネット車両の定期運用も消滅した。 2007年の8月16日に運転されたリバイバル特急白山号です。特急白山は1972年に運転を開始した列車(準急から格上げ)で、金沢〜上野間を信越線周りで運転されていた。JR化後アコモ改善が行われ、座席の交換や塗装の変更などが行われた。6号車にはラウンジ&コンビニエンスカーが連結され、長距離特急のため、食堂車の代わりとして重宝された。
489系というとボンネット車のイメージが強いがが、高運転台の車両も存在した。しかし外観的はほぼ485系と相違点が無いので、車番を見ないと識別が難しかった。写真は貫通扉を装備した-600だが、扉は溶接され、締め切りとなっている。 一方、こちらは非貫通型の-700。晩年は京都総合運転所に所属し、485系とともに「雷鳥」で活躍していた。こちらも485系と外観の違いは少ない。

489系 車内の画像
ほくりく光速鉄道