かつて寝台特急といえば客車が一般的であり、20系・14系・24系客車はブルートレインと呼ばれて親しまれた。客車のメリットは静粛性に優れていることであり、寝台列車に使われる前提の設計がなされていた。しかし運行サイドでは、夜間しか使用しない客車を昼間は車庫に寝かせておくことに無駄を感じていた。そこで夜は寝台列車、昼間は普通の特急や急行に使用できる車両として、581系が開発された。後に485系と同様に3電源対応の583系も登場する。
他にも特急列車初の試みとして、前面に貫通扉が設置された。その後に485系や183系などでこのスタイルは一般化する。

登場当時は特急でもリクライニングシートが一般的ではなく、座席が回転しないことを除けば遜色なく使用された。
ところが特急普通車の簡易リクライニングシートやリクライニングシートが一般的になると、座席の回転・リクライニングのできない583系は敬遠されるようになった。夜行でも、2段寝台の14系15型や24系25型などが登場すると、3段寝台の583系は窮屈となった。そのため、次第に昼・夜行特急から夜行急行へ活躍の場を移していった。余剰になった車両の中には、近郊型の419系や715系に改造されたものもあった。

スキーブームによりJR東西の583系は「シュプール号」で使用され、華を取り戻したように見えた。しかしスキー需要が下火になり、自家用車の利用が一般的になるとシュプール号も縮小され、2005年をもって運転が取りやめられた。

近年まではJR西日本に10連×6本、JR東日本に6連×2本在籍していた。JR西では急行「きたぐに」用として使用されたが、2012年3月改正で急行きたぐにが臨時化・短編成化されたため、現在は7連×3本(加えてモハユニットが1組)が残る。JR東では臨時列車のほか、秋田車が団体列車「わくわくドリーム号」に、仙台車が快速「あいづライナー」に使用されていた。その後秋田車が老朽化により廃車されたのに伴い、仙台車が秋田に転属した。JR東日本に残る583系は新秋田車6連×1本のみとなった。


臨時列車 団体列車 過去の列車
特)あけぼの わくわくドリーム 特)雷鳥
特)しらさぎ
急)きたぐに
急)シュプール
快)あいづライナー



急行きたぐにのクハネ581 クハネ583は機器室が小さく、定員が多い
最後に残った新秋田車は、東管内で臨時列車にも使われる 旧秋田車は廃車となった
九州鉄道記念館の保存車。ただし715系に改造され、塗装のみ復元された。スリットタイフォンが特徴的 ベッドを引き出すとこのような状態になっている。下段はA寝台並みに幅が広い。
ほくりく光速鉄道