北陸鉄道はかつて100キロ超の路線網を持ち、「国鉄各駅毎に北鉄線接続」といわれるほどの規模でした。その路線網はその後のバス転換によって、現在の北鉄バスの広大な路線網になっているわけですが、当然それだけ多くの鉄道路線があれば、気動車や軌道線車両のように路線毎に特化した車両も多数ありました。
それらの車両の中には現在まで奇跡的に保存、もしくは転用されているものがあり、今回はそのまとめとしてこのページを立ち上げてみました。けっこう有名なものから、保存されていることがあまり知られていないような車両もありますが、なにかの参考にしていただけたら幸いに思います。

★による評価の基準について
保存状態・環境等を総合的に判断して評価しています。車両の保有者が公的機関の場合は評価が高めとなっています。あくまで個人的な評価のため、参考程度のものとお考えください。

モハ6010系電車
日本では山陽電鉄3050系に続いて2例目となるアルミ製車体の電車で、加南線の観光客輸送用として1963年に登場した日車型ロマンスカーです。加南線廃止後は大井川鉄道に移籍となり、こちらでは2003年ごろまで活躍しました。2005年に旧山中町(現:加賀市)の閉町記念イベントして山中町への里帰りが実現しました。
現在は山中温泉ゆけむり健康村で静態保存されています。

今後の安全度★★★
モハ3750形電車(3751)
モハ3750形はモハ5000形として1951年に木南車両で製造され、モハ6000・6010系の登場まで加南線の主力車両として活躍しました。1964年に石川線に転属し、ロングシート化の改造を受けました。
5001は1984年に車体更新が行われて3751と改番しました。車体更新からあまり年月が経っていないモハ3750形は7000系導入後も廃車を免れ、予備車となっていました。2006年に廃車され、NPOの大聖寺川流し舟の待合室となっている。

今後の安全度★★☆
モハ3750形電車(3752)
モハ3752は数年間鶴来駅の構内で放置されていましたが、現在は千葉県いすみ市のポッポの丘にて保存されています。
ここでは万葉線デ7052や銚子電鉄の車両など多くの車両が、直売所として利用されています。
※画像は鶴来駅時代のもの

今後の安全度★★☆
モハ3760形電車(3761)
モハ3760形は1951年、モハ5100形として木南車両で製造され、石川総線に投入されました。加南線のモハ5000形とは姉妹車となります。
更新工事でモハ3760形となり、3761だけが最後まで残りました。2006年に廃車となり、能美市立博物館で保存されています。

今後の安全度★★★
モハ3000形電車(3005)
モハ3000形は1949年に日本鉄道自動車で製造された車両で、当初は石川線に投入されました。その後、金石線、小松線と転属し、1986年に廃車となりました。3005は石川線時代に正面衝突事故を起こし、ノーシル・ノーヘッダの車体に更新されました。
現在は加賀市の一般家庭で倉庫として使われています。

今後の安全度☆☆☆
キハ5210形気動車(5211)
この車両だけは少し保存車としての趣旨が違うかもしれませんが一応。
1934年に鉄道省のキハ41056として誕生して、遠州鉄道経由で北陸鉄道に入線しました。1967年から1972年まで能登線で活躍した後、関東鉄道に移籍し、茨城で最後の活躍をしました。
その後つくば市内の公園で保存整備されていた当車がJR東日本の目に止まり、現在は鉄道博物館で保存されています。
今後の安全度★★★
ED30形電気機関車(ED301)
1954年に東洋電機で製造され、当初から石川線で貨物輸送に活躍。1976年の貨物輸送廃止以降は除雪用としてスノープラウが設置されました。7000系電車導入後、足回りを7000系と共通化し、おそらく私鉄では前例のないカルダン駆動の機関車となりました。
現在は若桜鉄道隼駅で保存されています。
※画像は鶴来駅時代のもの

今後の安全度★★★
モハ2000形電車(2002)
モハ2000形は1950年に登場しました。10両が製造され、金沢市内線の主力車両として活躍しました。廃車後は名鉄に譲渡され、現在は千葉市天台の家具屋に保存されています。
※特別に許可を得て撮影しています
今後の安全度★★☆
モハ2200形電車(2202)
モハ2200形は1956年に登場した金沢市内線用の車両で、車体が小さい独特の金沢スタイルとなっている。金沢市内線の全線廃止後は親会社の名古屋鉄道に買い取られ、岐阜市内線で活躍した。1989年にモハ562が福井鉄道に譲渡され、イベント車として在籍したあと2006年に廃車となった。
廃車後は「ジェイアール貨物・北陸ロジスティクス」が引き取り、「金沢市電2202保存会」の方々が保存に向けて復元作業を続けている。
今後の安全度★★★
モハ2202形電車(2203)
1983年に廃車になったモ563(旧北陸鉄道モハ2203)が1984年に静岡県掛川市の「ねむの木学園」に譲渡されました。
今後の安全度★★☆
モハ2300形電車(2301)
1961年に日本車両で製造されました。金沢市内線で最後の新製車で、ドアの下部に窓がつくなど独特な仕様になっています。
兼六坂を上るためにモーターを4基装備し高出力であるほか、間接制御、弾性車輪など当時としては高性能な車両であったため、市内線廃止後は豊橋鉄道に譲渡されました。
豊橋鉄道では2000年まで活躍し、その後は鉄道総研に引き取られ、リチウムイオン電池のハイブリッド電車に改造されました。現在も鉄道総研で保管されています。
今後の安全度★★☆
モハ2300形電車(2302)
こちらは、豊橋鉄道時代の末期に北陸鉄道仕様に復元されています。
鉄道総研で新型試験電車が登場したことにより、茨城県の那珂川清流鉄道保存会により引き取られました。
那珂川清流鉄道保存会では、ほかにも北鉄の除雪用モーターカーが保存されています。
今後の安全度★★☆

ほくりく光速鉄道