第十話







皆さんこんにちわ、沙慈・クロスロードです。 先週の放送を見てくれた人は分かると思うけど、今ちょっとややこしいことになってるんだ。 ルイスのお母さんがルイスをスペインに連れ戻そうとしているんだけど、ルイスはそれを断固拒否。 相容れない両者の言い分。それはいつしか、僕へと矛先を向ける。 ルイスのお母さんには露骨に嫌われるし、かといってルイスの味方をしないと彼女がへそを曲げるし。 ああ、僕はいったいどうすればいいの・・・? そして今日も、事件は起こるんだ。ここは、都内にある高級料亭。 2307年版の東京ミシュランにも載ってる三ツ星の有名店さ。 ここで優雅に赤ワインを飲む女性こそ、ルイスのお母さん。 さすがお金持ちは違うね。一刻も早く娘を連れ戻したいはずなのに、 高級な料理に舌鼓をうつ余裕すらあるんだもの。 「失礼します。お連れ様がご到着です。」 そんな仲居さんの言葉に応じるように表れたのが、僕のガールフレンド、ルイス。 普段のカジュアルな服装とは違って、華々しい晴れ着姿でやってきた。 「とても似合っているわ。私の見立ては正しかったようね。」 とルイス母。親子ともどもご満悦みたいだね。 ・・・ところで、この時期って何かイベントあったっけ? クリスマスに晴れ着はおかしいし、正月にもまだ早いよね。成人式にいたってはあと三年も先の話だよ? 「ど、どうも・・・。」 ここで二人で初詣でもどこでも行ってくれればよかったんだけど、 僕の人生、そう上手くは運ばないんだよね。 早く出て来い、と目で訴えるルイスに引きずられるかのようにルイス母の前に姿を現す僕。 もうこの時点で、あの人から放たれるキツイ言葉のレパートリーが千通りくらい浮かぶんだけど。 「・・・あなたを招待した覚えはありませんけど?」 「私がしたの。ね、沙慈?」 「僕は断ったんですけど・・・。」 「意志が弱いのね。」 「よ、よく言われます。」 ホラ、思ったとおり、ルイス母からのネチネチとした言葉責めが始まったよ。 ・・・・・なんてことは死んでも口に出せないけど。 大体僕も僕だよ。何ヘラヘラしながら意志が弱いことを認めてるんだ。 そんなんだからますますナメられるんじゃないか。 「ならハッキリと言って差し上げましょう。お帰りなさい!」 ただいま〜。って、そんなつまらんギャグを言ってる場合じゃなくて。 やっぱり、思いっきり嫌われている僕。 ルイスもルイスで、何で招待なんかしたんだ。たまには家族水入らずで過ごせよ。 僕が君のお母さんにどう思われているかくらい、あえて空気読まない君でもわかるじゃないか。 それとも、わかっているからこそ僕を呼んだのか?強行突破でお母さんを説き伏せるつもりか? ともかく、帰れって言われた以上帰るしかないだろうね。触らぬ神に祟りなし、ってね。 「ダメッ!!」 と思いきや、やはり神は触らなくても僕を祟る気らしい。 まあ、分かっていたけど。どうせこうなるって、分かっていたんだけどね。 「お帰りなさいッッ!!!」 「ダメったらダメーーーーーッ!!!!」 ・・・・・・とまあ、こんな具合で、フロア中に響き渡るほどの 「お帰りなさいッ!」「ダメッ!!」の応酬が何十、何百と続く中、 僕は通りざまに白い目を向けてくる他のお客さんや従業員さんに、ひたすら頭を下げ続けたわけだけど。 どうやら、この周りの見えなさは血筋らしい。お母さんの方も、とびっきりKYだよ。 ・・・なんてことは死んでも口に出せないけど。 どうでもいいけど、このシーンのルイスの口どアップを見て、何か汚れた妄想をしちゃうような 世の男性諸兄は、一度病院かルイス母の元へ行くことをおすすめするよ。後者はきっと生きて帰れないから。 少し話がヤバイ方向へ行きそうだね。そうなる前に本編へ行ってくれると助かります。 本編ではマイスターの皆さんが、面白く軽快なトークで盛り上げてくれるはずさ。 それでは、僕はもう色々と疲れたので寝ます。ん?ルイスから着信があるけど・・・いいや。 それでは皆さん、おやすみなさい・・・。 第十話『ガンダム鹵獲作戦』
・・・・・・・ふぅ。 ・・・・・・・はあ。 ・・・・・・・ううぅ。 ・・・・・・・ぐうぅ。 うううう・・・・・って、はっ!もうカメラ回ってる!? ・・・カメラなんてないわよぉ。 で、でももう始まってますよこれ!! すっかり陰鬱になっている自分を晒してしまったわ! 相変わらずテンション高いですね、クリス・・・。 あんたらが低すぎるのよ!! ホラ、もう始まってるんだからオンオフを切り替えて! 今回の無残な結末を、いつまでも引きずらない!! 泣くのも悔やむのも終わってから控え室で!ね? 控え室なんて、そもそも無いけど!! ・・・すまないが、少し静かにしてくれないか? 安心してふて寝が出来ませんよ。 って寝てたのかい!さっきの「ぐぅ」はそういうことか!! ホラ起きる!おきてさっさと仕事する!! 耳がキンキンするぅ・・・・・・。 起きろよ!!! ったく、しょうがないわねぇ・・・。 はい、今日もガンダム00の始まりですよ。 今回は一体、どんな展開が待ち受けているのでしょうね? ・・・って言うけどさ、ぶっちゃけ私らのこの状態を見て察しろって感じよね。 つーわけでさよなら〜。また来週〜〜。 さよならじゃないから!まだ始まったばかりだから!! はい、今回は前回の続きで、人革の大部隊との交戦が続いています! 次第に悪化してゆく戦況に、果たしてCBの運命は!? 今回のテーマはずばり「涙」!それではどうぞ!! ・・・さすがオペレーター。 声のお仕事に関しては、他の追随を許さないですね。 ホントよね。おまけに仕切りもバッチリと来てる。 もう来週からアンタがリーダーやりなさいよ。 今日ほどあなたを頼もしく思ったことはありません。 ふがいない我々に代わって、これからもよろしく、リーダー。 ・・・私は、今日ほどあんたらを人間のクズだと思った日は無かったわよ。
ガンダム鹵獲を目論む、人革の特務部隊「超武」。 セルゲイ・スミルノフ率いる大部隊の作戦の前に、ガンダム達は反撃の糸口を掴めずにいた。 そして、トレミーから引き離されたアレルヤの前に、運命の敵が対峙する。 「知っている!知っているぞ・・・!」 自分の精神をかき乱す頭痛。その先にいる一体のMS。 「僕は、あの機体を・・・知っている!!」 パイロットだけではない。あのMSも、この痛みを呼び起こす原因の一つだ・・・。 おぼろげな記憶の中に、確かに存在する目の前の「敵」。 しかしその正体までは知りえぬアレルヤ。激痛からくる叫びが、宇宙に木霊する。 「中佐、『羽根付き』の動きが妙です。」 羽根付きと通称されたキュリオスからは、GN粒子も散布されていない。動きも、これまで幾多の MSを圧倒してきたそれとはまるで別物。今にも墜落しそうなほど、弱々しい動きであった。 罠か・・・? 敵の様子に疑念を持つセルゲイだが、どの道、この機を逃すわけには行かない。 僚機に捕獲用ネットの使用を命じ、相手の動きを封じさせる。 キュリオスに絡まるカーボンネット。 アレルヤがその身を拘束されたことに気付いた時には、 既に自機の足は殺され身動き一つ取れない状態にあった。 そこへ後方から、ソーマのティエレンがゆっくりと迫ってくる。 「く、来るな・・・!」 「来ないでくれえええええっ!!!」 二機の相対距離が縮まるほど、アレルヤの頭痛は激しさを増してゆく。 頭蓋を万力で締め付けられるような苦しみ。 やがてそれに耐え切れなくなり、絶叫ののちにその意識を失った。 「各機、『羽根付き』を四番艦に収容後、安全圏まで離脱!!」 たとえ、強大な戦闘力を誇るガンダムと言えど、動かなければ恐れるに足らず。 多数のティエレンがキュリオスを取り囲み、輸送艦への収容作業を開始する。
私たちの見えない所で、こんなことがあったなんてね・・・。 まったく、無抵抗のままに敵に捕らわれる奴がどこにいるか。 やはり君は死ぬべきだな。 人を非難するときだけ元気になるなよ・・・。 だいたい、あの時は頭痛が酷かったんだって、見てれば分かるでしょ? ならば機内に頭痛薬でも常備しておけ。 いいか、パブロンだぞ。パブロンがあれば大体の事態は対処できる。 いや、そんなちょっとした風邪程度に言うなよ。 そんな可愛いもんじゃないし・・・。 まあ、マジレスさせて貰うと、アンタのその左目をぶっ潰しちゃえば万事解決じゃなくて? 右目の方でもいいけど。その場合は今の人格が死ぬわね。 さり気に怖いこと言ってる!? いやいや!そんなんやっても多分頭痛そのものの解決にはならないから! ただ人格が一つになるだけですから!! まともな人間になれて何よりじゃないか。 おまけに隻眼の戦士っていうオプション付きよ。 カッコイイじゃないの、おめでとう。 それならついでに、髪をもっと伸ばして白く染めて、 口調はエセ外国人みたいに「〜デース」にすればより面白いと思うな! 戦士というかデュエリストだけど。 一体僕をどうしたいんですか・・・。
「『羽根付き』の収容、完了!」 「作業兵はパイロットを機体から離し、拘束せよ。」 遂に捕らえられてしまった、ガンダムの一角。 輸送艦『ラオホゥ』は、機体確保のため安全圏内へと撤退を始める その時、高速で接近する灼熱の光。 「この攻撃は、『デカブツ』か!?」 ヴァーチェが敵部隊を捕捉し、撤退を阻止する。 「別働隊がいたとは・・・!」 「何・・・・・・敵輸送艦から、キュリオスの反応?」 ラオホゥから発信される、キュリオスの識別信号。 敵に鹵獲されたというのか。何という失態だ! アレルヤの不甲斐ない有様に、怒りを顕わにするティエリア。 彼もまた、続き様に起こる不測の事態に、冷静さを失いつつあった。 「万死に値する!!!」 ガンダムの機密情報は、決して敵に知られてはならない。 ティエリアは躊躇うことなく、砲口を輸送艦へと向ける。 「アレルヤ・ハプティズム。 君も、ガンダムマイスターに相応しい存在では無かった。」 敵に鹵獲されるパイロット。それは敵と同じくCBの障害でしかない。 そんな人間は我らには必要ない。敵に技術が漏洩する前に、 キュリオスもろとも輸送艦の破壊を決行するティエリア。 怒りに囚われたヴァーチェの砲身が、その激情に呼応して低く唸りを上げる。 「邪魔はさせないっ!!」 「くっ・・・!」 射撃体勢に入ったヴァーチェの注意を引く、ソーマのタオツー。 今は輸送艦を撃沈させねば。纏わり付く敵機を早急に片付けんとするティエリアだが、 タオツーの並外れた機動力は、ティエリアの射撃能力を以ってしても捉えることが出来なかった。 機体へのダメージは皆無なもの、足止めする敵に時間をとられ、徐々に形勢が不利になってゆく。 「あの機体から、特別なものを感じる。 ヴェーダ、これは・・・!?」 タオツーに翻弄され続けたヴァーチェだが、GNキャノンが敵機の右脚を捉え、それをもぎ取る。 形勢は逆転したかに見えたが、異常なほどの敵の反応速度に、 ティエリアは普通のパイロットとは異なる要素を感じ取る。 その時、目標の輸送艦の方角から、敵の増援が迫り来る。 「チッ、新手か・・・。舐められたものだ!!」 いくら数で来ようと、ヴァーチェの前では無意味だ。 そのティエリアの油断が仇となった。 ヴァーチェの弱点は、大火力ゆえに砲撃後の隙が大きいこと。 それすらも見抜いたセルゲイの部隊は、ワイヤーアンカーでヴァーチェの捕縛を試みる。 四肢を押さえつけられ、身動きの取れないヴァーチェを、更なる追撃が襲う。 敵部隊が発射したのは硬化ジェル。各関節部に付着したそれは、瞬く間に凝固し、 アンカーとの二重拘束の役割を果たす。 「これしきのことで・・・!」 身動きが封じられても、なお攻撃体勢を崩さないティエリア。 しかし、バズーカもキャノンも、粒子によるバリア発生さえも、 敵の計算尽くされた作戦の前にことごとく封殺される。 完全に反撃の手段を失ったヴァーチェに、タオツーのブレードが振り下ろされる。 (やられる・・!?) そう直感したティエリアの目に宿る強き光。 同時にサブディスプレイが紅い光を放ち、浮かび上がる「ナドレ」の文字。 次の瞬間、敵の拘束を振りほどき、分解を始めてゆくヴァーチェの身体。 次々と切り離される装甲の中から現れる、謎のガンダム。 肥大化したヴァーチェのものとは真逆の、細身なシルエット。 頭部装甲をつなぎ合わせていた無数のコードは無秩序に揺らめき、 まるで真紅の髪をなびかせているようにさえ見える。 「ガンダム・・・ナドレ。 目標を消滅させる!!!」 GN-004 『ガンダムナドレ』 ヴァーチェの内部に隠された幻の4号機が、遂にその命を躍動させる。 パージされたGNキャノンを両の手に構え、左右両側面に向かい一斉射を放つ。 ガンダムの隠された能力に驚く敵部隊は、僅かな戸惑いから回避のタイミングを失い、 なす術も無く光へと帰してゆく。 部隊の半数以上を失ったセルゲイは、目標を前にしながらも撤退を余儀なくされられる。 隠された能力を開放し、敵を退けたティエリア。 しかし、彼の心からやり場の無い怒りがこみ上げる。 鹵獲されたアレルヤにではない、自分に対しての激しい憤りだった。 「何という失態だ!!こんな早期に、ナドレの機体を晒してしまうなんて!! 計画を、歪めてしまったっ!!」 CBの理念。ヴェーダの示す道。 それを誰よりも重んじ、ある意味狂信的とまで言えるほどにそれを絶対の存在とするティエリア。 しかし、彼の取った行動は、ヴェーダの指し示すものとは大きくかけ離れたものであった。 「ヴェーダ!・・・俺は・・・僕、は・・・・・」 ティエリアの瞳から輝きは失せ、もはや戦意そのものすら失われていた。 自らヴェーダの計画に泥を塗ってしまった。自分への憎悪が、彼の心に巣食う。 「・・・・・・私は・・・・・。」 冷徹な瞳からとめどなくこぼれ出る、無数の雫。 完璧主義者が見せる心の弱さ。 彼を取り巻く漆黒の空は、絶望の色に深く染まっていった・・・。
ついに出てしまったわね・・・。 情報の早いネタバレ師の手によってか、何故か序盤の時点から噂されていた ヴァーチェの新の姿、ナドレ。 僕は全く知らなかったよ・・・。 プラモでもパージ機能は再現されていないし。 屈辱だ・・・・・・・・・。 ま、まあそう落ち込まないでよ。 結果的にティエリアは死ななかった、機体もノーダメージ。 これで十分じゃない・・・ね? 人前であられもない姿を晒すなんて・・・・恥ずかしい!! ってそんな感覚かよ!! 機密がどうとかじゃないんだ!! 外気に晒される白い肌を、ティエレンたちが舐めるように見てた・・・。 そりゃ、目の前であんな変化されりゃ誰だってみるでしょ。 もうお嫁にいけない・・・・グスン。 グスンじゃねーよ!気持ち悪いな!! ええい、さっきからゴチャゴチャとうるさい! ではあなたは、人前で裸になることが出来るというのですか!! ならば今ここで脱いでみせろ!! な、何そのたちの悪いセクハラ・・・! 他人に当たるのはそれくらいにしておきなさい。 しかも女性に向かって脱げだなんて・・・。 侮らないで頂きたい。あなた方のような貧相な身体を見たところで、 この俺にとっては何も感じない。自惚れるな。 んだとおおおお!! 貧相かどうかその目で見晒せええええええ!! ス、スメラギさあああああん!!? おおお・・・・・!? っ!!!! ・・・・・・・・・・。 ・・・・・・・・・・。 ・・・・・・・・・・。 ・・・・・・・・むう。 「むう」じゃねーよ! 何ご満悦な表情してんだ!!! こ、これは放送できないね・・・。 まったくもってモラルに欠けているよ・・・。 鼻血出しながら言っても説得力ないから。
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