第十一話「アレルヤ」








「作戦プラン、見させてもらったわ。あなたの過去も。 ・・・・でも、いいの?あなたは自分の同類を・・・」 人間を改造し兵士とする機関。確かに武力介入する理由はあるし、『ヴェーダ』もこれを推奨している。 しかしこれからやることは、アレルヤにとって同郷の人間を殺すことと同じ。 「構いません。」 「・・・・・・もう一人のあなたは何て?」 「聞くまでもありません。自分の過去ぐらい、自分で向き合います。」 もう覚悟は出来ている。アレルヤの眼が、その強き覚悟を示すように輝く。 こうして、人革の特務機関への武力介入が開始された。
さて、キモイアレルヤの処分も決まった所で、 心機一転、後半頑張ろうか? うふふふ、そりゃないよロックオン。 さっきの無礼は詫びるからさ。ふふふ・・・。 詫びる態度とは思えないから却下。 はあ、分かったよ。これからは普通にするよ。 ったく、これだから空気予備軍キャラは・・・ おい!何か言ったか!? そんなことよりも、そこの電波が私利私欲のために 組織を動かそうとしている。 頭が痛いのならパブロンを飲んでおけと言ったはずだ。 その後「そんなもん効くか!」って言ってたじゃないか。 まあ今回のことはいいじゃない。双方の利害が一致したんだし。 キミの大好きなヴェーダも、僕の作戦を推奨してくれたし。 ああヴェーダ・・・何故このようなキモ電波の言うことを 聞き入れるのだ・・・・・!!私はそれが悔しい!! シット!シィィィィット!! 落ち着け。 ふふふ・・・見える、見えるぞぉ・・・・! 『ガンダムマイスターの中で最も頭が切れるのは?』という アンケートで、一位に輝く僕の姿が・・・・!! まあ、色んな意味でキレてはいるからな。
今作戦のターゲットとなるのは、人革のスペースコロニー『全球』 この内部に構える超人機関研究所での活動の即時中止。及び施設の破壊。 キュリオスとヴァーチェは、宇宙に浮かぶ鉄の筒へと侵攻を開始する。 「まさか、ここに戻ることになろうとは・・・。」 二度とするはずの無かった里帰り。 しかし、今もなお悪しき研究が続けられているのなら、それに裁きを下すのが ガンダムマイスター・・・・いや、自分に課せられた運命。 コロニーの防衛部隊が、こちらを捕捉し向かってくる。 キュリオスのコロニー侵入を援護してくれるヴァーチェに一言礼を述べ、 敵部隊を横切り、一気に港へと突き進む。 セキュリティシステムにハックをかけ、侵入口をこじ開ける。 「ここから先は、出たとこ勝負!!」 忌まわしいあの場所へ帰る。それが自分にとってどれほど苦痛を与えるかは知れない。 しかし、もう後戻りは出来ない。あとは、行くのみ。
この世界でもコロニーってあったのか・・・。 軌道エレベータなんてものがあるから、 てっきりコロニー開発なんてまだかと思ってたな。 人革はMSの開発が遅れている分、 宇宙進出にかけては三大国家随一のレベルの高さみたいだね。 まだ宇宙移民レベルにまでは到達していないらしいけど・・・。 このコロニー、どれほどの大きさなのかはしらないが、 よく分からない形をしている分、これを居住用として発展させるには いささかスペースがたりなさそうだな。 やはり一番いい形はちくわ型だろう。 そういうところを突っ込みだすとキリが無いな・・・。
手筈どおり、目標の施設を視認したアレルヤ。 コロニー内での戦闘行為は禁止されているため、守備隊による迎撃は無い。 このまま順当にミッションが片付けられるかに思えた、その時・・・。 「くっ・・・・・・!? いる・・・僕の同類が、あの、忌まわしい場所に!!」 先刻の戦闘と同じように、『同類』を感知したアレルヤを激痛が襲う。 しかも、今回は『同類』が一人ではない。 あの建物の中には、何人もの子どもたちが、『兵器』としての改造を受けている。 アレルヤを含めた全員が共鳴する。それにより生み出される苦しみは、 常人なら心を破壊されてしまうことだろう。 「躊躇わないさ・・・僕は、ガンダムマイスターだ!!」 今更、戸惑いはいらない。施設を射程圏内に捉える。 しかし、目の前で苦痛と恐怖に泣き叫ぶ同類の声に、引き金を引く指が止まる。 「殺す必要があるのか・・・? そうだ・・・彼らを保護して・・・。」 (甘いな・・・・!) 「ハレルヤ・・・・!!」 (どうやって保護する?どうやって育てる? 施設から逃げたお前が、まともに生きてこられたか?) ここに来て逃げ道を模索するアレルヤを、ハレルヤが引き戻す。 「しかし・・・このままでは彼らがあまりにも不幸だ・・・。」 (不幸?不幸だって? 施設にいる奴らは、自分を不幸だなんて思ってねぇよ! ・・・ティエレンに乗っていた女は、自分を不幸だなんて思っているのか?) 強化を施された人間は、感情を失い、人であることを失う。 ただ、兵器の一部としてその一生を過ごすのみ。 独りよがりな考えを、相手に押し付けるな。 どんな小奇麗な言葉を並べ立てても、お前の優しさは、偽善だ。 ハレルヤは冷たく言い放つ。 「彼らは生きている・・・!」 (改造されてなぁ!!そしていつか、俺らを殺しに来るっ!!) 敵に情けをかけるな。 ハレルヤの言葉は理解できる。しかし、彼らも人間のはずだ。 罪の無いものを殺すしてもいいのか?アレルヤの心は更に揺らぐ。 (他人なんざどうでもいい!!俺は『俺』という存在を守るために戦う!!!) 「そんなこと・・・・!」 (なら何故、お前はここに来た?) 「僕は、ソレスタルビーイングとして・・・ ガンダムマイスターとして!!」 (立場で人を殺すのかよ!? 引き金くらい感情で引け!己のエゴで引け!! 無慈悲なまでに!!!) 「撃ちたくないんだああああああっ!!!」 ついに感情が爆発したアレルヤ。 悲痛な叫び響く中、腕部のガンポッドから飛び出した無数のミサイルが爆風を巻き起こし、 研究員、被験体ともども、施設を瞬く間に倒壊させてゆく。 「ハハハハハハッ!良くやった!それでこそ、俺の分身! ・・・・・・面白くなってきたぜ・・・!」 自分の手で過去を断ち切った彼の眼から流れる、一筋の涙。 その涙は、アレルヤのものか、それとも・・・。 その夜・・・ 「どうしたの?アレルヤ。新しい作戦でも立案した?」 「スメラギさん、僕にも、一杯もらえませんか? ・・・酷くそういう気分なんです。」 結局、覚悟を決めたつもりで、弱い自分を乗り越えることは出来なかった。 ハレルヤが自分を奮い立たせなければ、また甘えた考えに逃げたかもしれない。 「未成年は、ダメよ。犯罪者になっちゃうもの。」 「僕らは、稀代のテロリストですよ・・・。それに、もういいんです。」 「グリニッジ標準時間で、つい先ほど二十歳になりましたから。」 「そうなの・・・。 こんな時に言うのもなんだけど、おめでとう。」 これで全てが、終わったわけではない。 故郷を捨てたアレルヤのその心情は、決して晴れたわけではない。 いつまた、世界のどこかで、自分の同類が生み出されていくかも分からない。 彼らが、自分の命を奪いに来るかもしれない。 それでも、戦わなければならない。これはその覚悟の為の第一歩だ。 勝利の美酒、と呼ぶには程遠い一杯を口にする。 その味は、やけに苦く感じた。
ふふふふふ・・・・以上で第11話はおしまいさ。 いやあ〜、もうどこを見ても、画面に映るのは僕、僕、僕。 これほど嬉しいことはないよね、ぐふふふふふ・・・。 またキモくなった・・・。 ああ、見える、見えるぞお・・・・・! エンドテロップで、一番上に出される僕の名前が・・・!! 今の空気主人公に変わって、新型ガンダムを駆り一騎当千の戦いを 繰り広げる僕の姿がああ・・・・・!! また変なものを見てるよ、もう完璧に薬やっちゃてるだろこいつ。 きまっちゃってるもの。気持ち悪すぎるもの。 主人格もこうなっちまったら、もうおしまいだな。 というか、今はどっちなのだ? アレルヤ?ハレルヤ?それとも新しく生まれた第三の人格? 僕は僕さ、ティエリア・・・。 さあ、新たな主人公の誕生に、惜しみない賞賛を・・・・!! ・・・・どうするんだ? 俺としては、これ以上関わるのは推奨できない。 俺だって嫌だよ、電波が伝染っちまう。 ・・・・・・。 ・・・・・・。 ・・・・・・。 俺らだけで先に帰っちまうか? そうだな。 了解した。 ちょうど宇宙行きのチケットはこっちで管理しているし。 あ、ちなみにここは地球だからな? ・・・・誰に言っているんだ? 何でもねぇ、気にすんなよ。 さあさ、帰ろ帰ろ。懐かしき我が家へ・・・。 輸送艦だけどな。 ははははは・・・・。 そうだなぁ、新しい機体はどんなのがいいだろうか? やっぱり変形に加えて合体機構は外せないよね。 キュリオスは武装面が貧弱だから、頭部に大きなビーム砲をつけて・・・。 羽根は、天使の名を冠するに相応しく、大きな白い翼をつけて・・・。 キメ技の時には、金色に光ってパワーアップする機能も・・・。 いやそれより、機体の色が変わることで装甲強度が上がる新素材の使用も・・・・!! ねえ、ロックオン、キミはどう思う・・・・・・・って。 ・・・・・・・・・・・・アレ? ・・・・・・・・・・・・・・・。 だ、誰もいないね・・・・・・・・・・・。 ・・・・・・・・・・・・・・・。 な、何だろう。この頬を伝う生温い水は・・・・?
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