第十五話「折れた翼」















さて後半よ。
こっからはウチの逆転の機会をどうにか作るわよ!
現場にいない私たちも、祈りながら待ちましょう!!


はい!!一瞬たりとも見逃さないっス!!


・・・というか、まだビデオ回してんのか。
いい加減やめろよ、フェルトも困ってる。


速やかに電源を切ることを要求する。


またまたぁ、そんなこといって、ホントは満更でもないでしょ?


本当にやめて。


嫌よ嫌よも好きのうちというか、困り顔もまた可愛いなあ〜〜。


いやなのに・・・・やめて・・って、言ってるのに・・・・えぐっ・・・・。


あーーーーーーーっ!!!
おいお前、なにフェルトを泣かしてんだよ!!


いや、その・・・まさか泣くとは・・・・。


ちょっと何やってんのよ!
アンタ、ウチのマスコットを悲しませてタダですむと思ってんの!?
そうだわ、アレルヤの脳波遮断装置導入の目処が付きそうだわ。
アンタの給料から差し引いてね!!


そ、そんな!!!


『ロックオンへ
私は今、隣にいる変態から耐え難い恥辱を受け続けています。
どうしたらいいでしょうか?なぐさめてください。』
・・・っと、送信。


なんかメール送ってる!?
しかもミッションへの無関係度100%だし!!


こちらロックオン! まずいぜ・・・離脱タイミングはおろか、反撃の糸口をも掴めないまま 敵の的になり続けている!! しかもアレルヤは勝手に電波受信して使い物にならねぇし・・・。 もう俺、こいつと組むの嫌なんだけど!! そうそう、フェルト。 さっきのメールだが、安心しな。帰ったらその変態を蜂の巣にしてやんよ。 そこで頼みなんだが、俺の帰りに合わせて、愛用のライフルの手入れをしておいてくれ。
返信はやっ!つーか律儀に返事返すな、そんなことに! しかも、勝手に暗殺の依頼を承っちゃった!? 『ロックオンへ わかりました。サービスで試し撃ちもしておきます。 銃身を温めて帰りを待っています。』 っと、送信。 しちゃだめええええええ!!!
よっしゃあ、フェルトからの殺人依頼も受けたことだし、 これはますます早く決着をつけなければな!! こうなれば俺も本気だ。 ロックオン改め、殺ッターマン様が相手してやるよ!! かかって来い鉄人桃子!!! ・・・と思ったら、桃子は俺をガン無視してアレルヤの方に突っ込んでいきやがった。 あの野郎、この俺がいるのに無視しやがって。 何でこの俺が、人造人間に無視されるベジータみたいな気持ちにならなけりゃいかんのだ!! 結局、俺は頭上の雑魚どもの相手をしなければならないらしい。 しかし、相手をしたくてもさせてくれない今回の奴ら。 この野郎、あるのは一方的な暴力のみってわけか。 脱出のために作ったはずの谷が、逆に敵から狙われやすくなっただけかよ! しかも、さっきからやけにこっちの攻撃があたんないし。 ここ最近、こういうの多いなぁ。 バイオハザードのガンコンのヤツで少し鍛えなおすしかないな、こりゃ。 その頃、遠方にかろうじて見えるアレルヤのヤツは、なす術もなく 敵の攻撃を受け続けている。ホントに使えねーなあいつ。 おら、敵はお前を踏みつけて、いかにも悪役なやり口でお前を踏襲し、 悦に浸っているぞ!!悔しくないのか!?この○×▲□め!! 「おい、名前は・・・?教えろよ・・・?」 「超兵一号、ソーマ・ピーリス少尉だ!!」 お?この口調はまさか・・・? 「いい名前だ・・・殺しがいがある!!」 これは・・・アレルヤの別人格・ハレルヤ!! しめた!こいつにチェンジしたなら、もしかするとチャンスだぞ!? ひ弱なアレルヤと違って図太いハレルヤは、 ちょっとやそっとの頭痛なんかものともしないからな!! さあ、ハレルヤ!今こそその牙をヤツにつき立てろ!! 惜しい!もうちょい!あと五センチ左!! さすがハレルヤ、激しい殺意を伴った豪快な一撃だ! しかし、それを辛うじて避ける敵MSもなかなかの反射速度。 パイロットの身体が貧相だと、自然とMSにもその身軽さが反映されんのかね? そういうわけでフェルト。お前は以前、歳の割りに胸がデカイことを悩んでいたが、 全然変な事じゃないぞ?世の中には、お前より4歳も上なのにまな板見たいな女もいるんだからな! 俺としちゃそっちのほうが異常だよ!!
勝手に人の悩みを暴露した。・・・・削除。 いやだから!!! いいじゃん別に、褒められるんだぜこれ!? あなたに聞かれたと思うと、より一層不愉快。 なんでだよ・・・・。 ちゃんとビデオもやめたじゃないか・・・・。 明らかにお前が悪い。 この子の機嫌を損ねると怖いわよぉ〜。 元に戻るのに、一週間はかかるんだから。
よし、ハレルヤの介入により、僅かながら状況が変わった! もう頼れるのはお前だけだ、今こそ道を開け!! つーかもう、ずっとお前が主人格でいろよ! ユーギ然りバクラ然り、裏のほうが人気出るのも分かるわこりゃ! しかし、援護に来た指揮官が、反撃フラグをことごとくへし折っていった! まだだ、往けハレルヤ!現にティエレンはいるのだ!! 左手のそのシールドクローで、10話のようにお茶の間ごと敵に恐怖を植えつけてやれ!! 「チッ、つまんねーなぁ。 後は任せたぜ、アレルヤ・・・。」 っておい!!そこでやめるな!追い込めよ!! くそ、目当ての相手がいなくなった途端やる気ゼロか! いるよ、こういう奴!肝心な時にいなくなるお助けキャラ!! ったく、お前の宿主サマごと亡き者にしてやろうか? 「ハレルヤ・・・・・う!うああああああ!!」 ハレルヤが帰っちまったってことは、出てくるのは使えないこいつだな。 当然、軟弱なこいつはチェンジした途端、頭痛に苦しみだす。 何なんだよこの一人コント。
これでもまだ、脳波遮断の費用をケチるんですか? 金がないなら、カンパして貰えばいいじゃないですか。 せっかく王留美という、金持ちなお友達がいるというのに。 バカね貴方は。金持ちから金を借りるのが一番怖いのよ? その見返りとして、とんでもない要求をされるんだから。 金持ちってバカだから、わけの分からない妙な頼みごとばかりしてくるのよ。 ねえフェルト? ・・・・・・・・・・・黙秘権を行使します。 ?フェルト?? ・・・・・ガクガクブルブル・・・・・。 (何かあったんだな・・・。)
戦闘開始から15時間。 依然俺たちは、敵の集中砲火にさらされ続けている。 いくらガンダムが無事でも、こっちはいい加減疲れてきてんだよ・・・! エクシアとヴァーチェもこの有様か。援護は望めないな。 ハロ悪い、少しの間操縦を任されて・・・・ダメか。 電池があと一本しか残ってねぇ。充電しとくんだったな・・・。 「何だ?攻撃が、やんだ・・・・?」 あんだけしつこく続いていた攻撃がパタリと止む。 もうここまでくると嫌な予感しかしないが、 これは敵も絶え間なく撃ち続けた挙句息切れしたと思いたい。 その一心で、各機は離脱行動に入る。 やられっぱなしのまま逃げるのは癪だが、各自撤退だ!! 今日のところはこのくらいにしといたるわ。 「見つけたぜぇ、ガンダム!!」 嫌な予感ほど的中するもので、油断した俺たちが分散したところに、 AEUが追撃をかけてきた!! しかし、やってきたのはあのAEUの有名コメディアン、コーラサワーだ。 これはあまりにもタイミングが悪すぎたな。 あのドSなティエリアが、一方的にやられ続けるのに15時間も耐えてんだぞ? そんなストレスが溜まりきった状態で、こいつみたいなヤムチャに絡まれた日には もう何をしでかすかわからん。恐らく10回殺しても足りないだろうよ。 構わんティエリア、お前の日頃の怒りを解放してやれ・・・。 ティエリアの気合一撃! だが、いつもの正確さがまったく見えない。こいつもちゃんと疲労するんだな。 「どうしたぁ?動きが遅いぜガンダム!!」 こんなことまで言われてんのに、ティエリアのヤツはもう怒る気力もないらしい。 しっかりしろ!いつもの憎たらしさはどうした!! 飛び道具の硬直を狙われ、格ゲーでいうところの反確状態に陥るティエリア。 何か特殊な装備をしたヘリオンによって、妙なガラスケースに閉じ込められちまった! こうも狭いと、キャストオフでナドレに変身することもままならない。 まさか、あのティエリアが負ける・・・・!? 「ガンダム確保!!」 「よくやった!俺のおかげだな!!」 違う!ヘリオン部隊のおかげだ!! 敵にやられるにしても、ザコだと思っていたヤツにやられるのが一番腹立つんだよ。 ティエリアのヤツ、今頃中で頭を打ち付けて怒り狂っているんだろうな。 その頃、苦しみに耐えかねて頭を打ち付けていた方も、どうやらダウンしちまったらしい。 結局、今回お前何かしたか? そして、敵の魔の手は、今まさに俺にも向かってきている。 ユニオンのフラッグ隊。 全機が黒いカラーのフラッグで構成されているところを見ると、 相当手練れた連中らしい。泣きっ面にハチとはまさにこのことだぜ。 「いつまでも、自分だけのもんと思って!!」 だが、うち1体のフラッグが単体で突っ込んできやがった。 どういうつもりか知らんが、こっちとしては好都合だ。 無謀にも単機で向かってきた、その勇気に敬意を表して、一撃の下に沈めてやる。 あばよ、当て馬クン・・・・。 しかし、それが仇となっちまったようで、敵の逆鱗に触れた俺は、 奴らの接近を思うように阻止できない。 「指先の感覚が・・・・・・。」 正直、指先どころか体中がマヒしてどうしようもないぜ。 操縦桿もまともに掴めない。もう刹那みたいなテキトー射撃しか出来ないぜ、畜生。 勘弁してくれよ。砂漠の夜ってのは案外寒いんだぜ? 冷え性の俺には堪えるんだよ・・・・!! 「抱きしめたいなぁ、ガンダム!!」 そんな俺の気持ちを察してか否か、隊長機らしき機体が 俺目掛けて飛び込んできやがった!! こいつだな?刹那の報告にあった変態ってのは!そんな温め方いらねぇよ!! 「まさに・・・・眠り姫だ・・・・。」 最後までキモイことを言いながら、俺の動きを抑えた敵隊長機。 くっ・・・・こんなバカな奴にやられるなんて・・・・。 そういえば、今何時だ?もう日にち変わっちゃってんじゃないだろうな・・・。 こんなことなら、ロザリオとバンパイアも予約してくればよかったかな・・・。 つーか、もう曜日の感覚もよくわからなくなってきた。 すまないみんな、俺はここまでのようだ。 刹那、あとは・・・・た・・・・・・の・・・・・・
・・・・デュナメスからの通信、切れました。 ロ、ロックオンまでもが・・・・なんてことっスか。 とりあえず、ロザバンは俺も毎週録ってるから安心するっス! いやそうじゃねーだろ!! どうすんだこれ!どうなるんだこれ!! まだよ・・・・まだ終わりではないわ! 現にガンダムはまだ健在だし、刹那はまだ倒れていない! ここは彼に頼るしかないわね・・・・。 ・・・・・た、頼りにならねぇ〜〜・・・・。 自分で言っちゃたよ、オイ・・・・。
デュナメス、ヴァーチェ、キュリオス。 既に三機のガンダムは、敵の圧倒的な戦力の前に屈した。 夜が明けてもなお、刹那は僅かな可能性を捨てず、 仲間の無事を信じつつ戦場を後にしていた。 しかし、運命は彼をあざ笑うかのように、更なる脅威を振り掛ける。 「三時の方向に敵影!・・・・・・・・・MA!?」 朝日の方向から迫る、一つの巨大な物体。 通常のMSを凌ぐ巨体をもったそれは、最後の一機となったガンダムを待ち構えていたように、 ゆっくりをその身を起こす。 「この前の借りを返してもらうぜ・・・えぇ!?ガンダムさんよ!!」 巨体に似合わず、一般機にも引けをとらぬ機動力で襲い来るMA『アグリッサ』 既に疲弊しきっていた刹那は、その攻撃を防ぐ事が出来ず、 あっけなく敵に捉えられてしまう。 「へへ・・・・いっちまいな!」 エクシアを取り囲むように展開された幾つもの足。 そこから放出された強力な電撃が、エクシアに容赦なく浴びせされる。 『プラズマ・フィールド』 周囲に展開した磁場発生装置から、高周波の電磁波を発生。 機体表面への大きなダメージは期待できないが、 内部の電子回路をショートさせることが目的の兵器。 MSを確実に行動不能に陥れるには、この上なく有効な攻撃手段である。 「ああああああああああああ!!!」 パイロットへの負担も、並みのものではない。 絶え間なく襲う電撃の波に飲み込まれ、絶叫する刹那。 激痛に耐えながら、刹那は脳裏に浮かぶ数々の記憶を思い起こす。 思えば、あの日からずっと、俺は力が欲しかった。 無力な自分を嫌い、ガンダムに乗ることを決意した。 力を手に入れた。そう思っていた。 しかし、今その力が奪われてゆく最中にある。 死ぬ?死ぬのか、俺は? この歪んだ世界の中で、何にもなれぬまま、失い続けたまま。 朽ち果てる、のか。 命を諦め、力を諦め、ただ消えてゆく。 その意識が途絶える瞬間に、事態は起こった。 上空から飛来する一筋の閃光。 鮮血のように強き赤を光らせるその輝きは、アグリッサの機体を貫き、 電磁フィールドを発生させる下半身を爆散させた。 「あ・・・・あれは・・・・・・」 刹那が上空を見上げると、そこには一人の巨人が。 先ほどのビームと同じ、真紅に光る翼を広げ、ゆっくりと舞い降りてくる。 まるで6年前の再現かのように、刹那を見下ろしながら。 「ガン・・・・・ダム・・・・・」 「ガンダアァァァァムッ!!!」 刹那の前に現れた、新たな『ガンダム』。彼は一体何者なのか? 藍色の空に浮かぶ鮮やかな赤。それを眼に焼付け、刹那は、ただその『神』の名を叫ぶ。
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