第二十四話






「新しいガンダムマイスターを紹介するわ。」 そう言ったスメラギとともに現れた一人の少年。 コード・ネーム、『刹那・F・セイエイ』 まだ子供だ、ヴェーダが彼を選んだのか?と、アレルヤ達は困惑している。 「いいじゃねぇか、俺らは相当の覚悟を決めて組織に入り、 ガンダムマイスターになった。」 まだ子供だとか、ヴェーダが選んだかどうかなんてどうでもいいこと。 世界を変えたい。その信念さえあれば、誰でもガンダムに乗る資格があると俺は思っている。 そして、この刹那という少年の瞳には、確かにそれが宿っていた。 「アンタは?」 「ロックオン・ストラトス。成層圏の向こう側まで狙い撃つ男だ。」 二年前――俺たちガンダムマイスター四人が揃った初めての日の事だった。 へっ、何故だろうな。今になってこんな事を思い出すなんて。走馬灯、ってやつか? 皮肉なもんだ。片目を失ったおかげで、今はもっと色々なものが見える気がする・・・ 「フェルト、ゴメン。フェルト、ゴメン。」 「・・・ハロが悪いわけじゃない。ハロが・・・謝ること、なんか・・・・」 フェルト・・・・ゴメンな。 俺の方が先に、約束破っちまった。 ティエリア、刹那を責めないでやってくれ。 刹那だって、自分の求める答えを探しに一人で降りたんだ。 それは俺なんかよりもずっと大事なこと。わかってやってくれ。 そして後ろのオヤジ二人はさっさと止めろ。つかアレルヤはどこよ? アイツまた肝心な時に不在だな、ホント使えねぇ。 なあみんな、そんなに悲しむなよ。 こうなるかも知れないことは、初めから覚悟していたはずだ。 だから前を向いてくれ。いつものように笑ってくれ。 じゃないと、安心していけないぜ。
なあ、みんな・・・・・・ ・・・・・・なにしてんの? 恥ずかしい独白ッスね。 んお?・・・・なんだ、お前らも来ちまったのか? ええまあ・・・・情けないことに。 情けない言うな! お、なんだなんだ?よく見たら仲良く手なんか繋いじゃって。 お前らいつの間にそういう関係になったの? ええまあ・・・・めでたいことに。 デレデレするな!気持ち悪いわね! ちょっと、こんないい男捕まえて気持ち悪いは無いッスよ。 それとこれとは別の話。 つか自分で言うなっての。 そんなぁ・・・・・・。 はは、早くも尻に敷かれ気味だな。 ま、最後にそういう相手を見つけられただけでも、 上等な人生じゃねーか。 えへへ・・・・そうかな? 当然ッスよ。 時にリヒティ。こっちにはいい女がたくさんいるぜ? お勧めのナンパスポットを知ってると言ったら、どうする? ちょ、マジすか!? いくいく、もち行くに決まってるじゃないですか。 今日から美女ハントの始まりってわけですね!? よぉし、ひと狩り行こうぜ!! ふ〜ん・・・・・・ ハッ、クリス!? ち、違う、これはそのつい本心が・・・・じゃなくて! 本心じゃないッス!なんというか、あの、その・・・・ さてクリス、今の心境は? もう一度自分の気持ちを確認したいと思った。 これは男の性なんです!お願い嫌わないでっ!!
第二十四話『終わりなき詩』 「現戦力で期待できるのは、強襲用コンテナとエクシア。 頼みの綱のトランザムも、制限時間がある・・・。」 ガンダムチームの一角を欠いたことは、戦力の少ないCBにとってとてつもない痛手であった。 敵の新型もその半数は叩く事が出来たが、疲弊している度合いはこちらが上なのは明白。 このまま逃げるが、迎え撃つか。どちらにしても次の一手で決まる。 「スメラギ・李・ノリエガ。次の作戦プランを提示してください。」 「まさか、戦おうというの?」 ティエリアが通信で呼びかける。自分は・・・自分たちは、戦う道を選ぶと。 敵部隊を殲滅させ、生き残れば、CBの計画は継続できる。 口で言うほどに簡単なことではない事は、皆理解している。 それでも彼は、最も死の確率の高い戦場へ向かうことを宣言した。 「これは私だけの気持ちではありません。マイスターの総意です。」 「何してんの、フェルト?」 「手紙を・・・天国にいるパパとママ、それからロックオンに。」 「縁起悪いなぁ、遺書なんて。」 「違うの、私は生き残るから。 当分会えないから、ごめんなさい、って・・・」 最後に悔いの無いように遺す手紙ではない。 『生き残る』 ただそれだけの、しかしとても困難な約束を守ることを綴った手紙なのだと語るフェルト。 そんなフェルトの言葉が誘い水となったように、彼らは自らの境遇を語りだす。 家を飛び出したままに、ヴェーダに選ばれた者。 戦争で親を亡くし、CBに入ることを選んだ者。 「そういや、こんな風にお互いの事話したの、初めてだな。」 守秘義務という言葉を借りて、知らぬ間に壁を作っていた。 その壁一枚を取り除いただけで、人は分かり合える。ともに笑い、言葉を交わせる。 故郷から遠く離れたこの宇宙で出会った新しい家族。 たとえ離れても、お互いの事を忘れないように、覚えていてもらえるように、 彼らは長く、言葉を交え続けた。
遺書のセリフは余計な一言だったな。 うん、デリカシーないなと思った。 いや、誰だってあのタイミングで手紙といったら遺書だと思うでしょ? まったく、歪んでいるというかマイナス思考というか・・・ 何で私、こんな男に惚れたのかな? クリスがプラスだから、磁石みたいに引き合ったんスよ。 ま、その結果お互いゼロになっちゃったワケですけど。 ・・・・・・・お前さぁ・・・・。 サイテーね。 あ、あれ?ダメだった今の発言? おっかしいな・・・・・ははは・・・・ 罰として、こんど高級レストランで夕食おごりね。 いぃっ!?そ、そんな失言の一つや二つくらいで・・・ お ご り ね 。 ・・・・・・・・・・はい。
数時間後、艦内に鳴り渡る非常警報。 会敵―その総数、13機。 しかし、その中の一つに、見慣れないシルエットを確認する。 左右に広がるジンクス部隊を先導するように迫る巨大な物体。 MSの数倍はあろうその巨体は、禍々しい黄金の光を放っていた。 「これ・・戦闘艦ですか!?」 「違うわ、あれは・・・擬似太陽炉を搭載したMA・・・・!」 『怪物』が口を開く。 せり出した口に光が収束し、そして放つ。 「粒子ビームが来ます!!」 「あの距離から!?」 七基のGNドライブから成る高出力ビーム。プトレマイオスの射程範囲の外からでも 減衰することを知らず、一気に駆け抜けてゆく。 かすめた船体を、容赦なく砕き溶かしてゆく業火。 完全に後手に回ってしまった。 エンジンの一つを破損したプトレマイオス。 すぐさま、各ガンダムマイスターに反撃を命じる。 「強襲コンテナ出撃!目標、敵MA!! キュリオスとナドレはコンテナから直接出撃。トレミーの防御を!」 ついに運命を分かつ瞬間は訪れた。 この戦いの先の未来がどんなものであろうと、己の意地と信念を貫き戦う。 天使たちは、最後の飛翔を始める。
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