結語
1.挿管・人工呼吸治療を体験した患者を対象にアンケート調査を行った。
2.特別なケースを除くと挿管前後のことは記憶に無い場合が多く、その場でのインフォームドコンセントは困難であると考えられた。少なくとも慢性呼吸不全患者の場合には急性増悪する以前の病状の安定した時期に話し合いをしておく努力をしたい。
3.人工呼吸中に自分の置かれている状況については理解できていない場合の方が多く、本人に繰り返し説明することが必要と思われる。人工呼吸中に求められる情報の内容は、「今後の見通し」や「病状」、「人工呼吸治療の必要性」「治療上の注意点」などであった。
4.人工呼吸中に苦痛だったことでは、「気管内吸引」が圧倒的に多く、「口や喉の痛み」、「声が出せない」、「ファイティング」、「思うように動けない」など肉体的苦痛と、「病状に対する不安感」、「思うようにならないイライラ感」などの精神的苦痛も多かった。
5.人工呼吸中の意思疎通では、思ったことの半分も伝わらない患者が半数もあり、工夫・改善が必要と思われる。