大阪社会文化センターからの抗議文

                         抗議文

大阪府教育委員会
委員長 生 野 照 子 殿

 貴教育委員会は、本年3月30日大阪府立寝屋川高等学校の教員4名に対し、違憲違法な『戒告処分』を強行しました。これは8月8日同高校校長が国歌斉唱の際に起立して国歌を斉唱するよう職務命令を発し、上記4名が起立しなかったことを理由としています。このような処分が強行されたことに対しここに厳重に抗議します。

 学習指導要領についてその法的効力が長年争われてきたことは周知の事柄であり現在の普遍的認識は「大綱的基準」において法的効力を有すると解されています。『基準』とは『物事を比較・判断するよりどころとなる一定の標準』(大辞林)です。学習指導要領の「入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導するものとする」との記載は式のありようの標準を示したものであって、そもそも行政処分をもって強制すべき事柄ではありえません。強制しないことは、国旗・国歌法が立法された国会においてもくりかえし確認されており、国家が国民に約束したのであり、この約束は守られなければなりません。
 しかるに、貴重員会は冒頭処分を行いました。貴委員会を構成している職員は全て公務員であり、『公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ』(憲法99条)にもかかわらず、この義務に違反して国民の基本的人権たる『思想良心の自由』(憲法19条)を侵害する行為に及んでいます。貴重員会は教育行政機関であることを自覚して節度ある行動をとるべきです。処分を受けた4名の教員は憲法上の精神的自由権を行使しただけであり、式の進行を妨害したり他の何人かの権利を侵害したりなど一切しておりません。校長の職務命令自体が違憲違法であって効力を有せず、被処分者は一切の非違行為を行っておらず戒告処分を受けるいわれは全く存在しません。強権支配の教育がかつて我が国を破滅に追い込んだ歴史を自覚すべきです。

重ねて本件処分を直ちに撤回すべきことを求めます。

                                                 2010年4月9日

                                          大阪社会文化法律センター