J.F.ケネディの失敗
キューバ危機の前年に起こっていた恐怖!!
ヒューマンスキル研究センター 代表取締役  細川 政宏
       キューバ危機を取り上げた映画「13デイズ」
 ケビン・コスナー主演で2000年12月16日に日米同時公開された「13デイズ」という映画がある。映画評論家の評価も上々だそうで、是非映画館へ足を運ぼうと考えている。
 映画では、1962年10月16日に起こったキューバ危機を見事に乗り越えたケネディ兄弟と特別補佐官K.オドネルの人間関係を描いたものになっている。しかし、キューバ危機の起こった前年には、さらに息詰まるドラマが繰り広げられていた。それが、キューバ侵攻作戦の失敗であった。
       キューバ侵攻は何故失敗したのか
 1961年4月17日、キューバからの亡命者1400人が、アメリカ海軍、空軍、CIAの支援を受け、キューバのピッグス湾に侵攻しカストロ政権の打倒を目指した。しかし、わずか3日後には、生き残った1200人の侵攻軍は捕らえられ、カストロ打倒計画は完全に失敗に終わった。この時点で、ソ連の核ミサイルが発射され第三次世界大戦が起こってもしかたのないスリリングな事件であった。この事件は、就任早々とはいえ、若きアメリカのリーダー、ケネディ大統領が犯した歴史上最悪の政策決定といわれている。社会心理学者ジャニス(1972)は、このような愚かな集団意志決定の過程を「集団思考」と名づけた。何故このようなことが起こるのか?
 ジャニスは、グループメンバーに対するグループの目に見えない圧力に原因を求めている。つまり、メンバーは、他のメンバーから支持を失ったり排除されることを恐れるため、その主たる関心が、仲間の間で事を荒立てず、現在の望ましい関係を維持することに向けられるということである。
       愚かな集団意思決定をするグループの特徴
 このような集団思考の起こるグループには、いくつかの兆候が現れることが指摘されている。
@過度の楽観論がグループを支配する
Aそのグループ固有の道徳観をメンバーが無批判に受け入れるようになる
B不都合な情報や警告を合理化してねじ曲げようとする
C敵をつくり、悪人とか賢くないとか言い始める
Dグループから逸脱しないように自己点検を始める
E全員一致を目指すようになる
F異議を唱える者に対して直接の圧力が加わるようになる
Gグループにとって不都合な情報を検閲する監視人を自認する者が現れる
       リーダーの対応方法
 それでは、リーダーは、どのように対処したらよいのだろうか?
@リーダーは、反対意見や疑問点をメンバーが出すように働きかけなければならない
Aリーダーは、最初から自分の好みや希望を述べて、偏った立場にあることを明らかにしてはならない
B複数のグループに同じ問題について意志決定させる
Cその他
・外部の専門家を入れる
・下位のグループに分かれて論議する
      同じ過ちを繰り返さないJ.F.ケネディ
 ケネディは以上の教訓をもとに、ピッグス湾侵攻作戦失敗の翌年、キューバ危機勃発からその回避までの13日間、見事にリーダーシップを発揮した。そして第三次世界大戦という最悪のシナリオから人類を救ったのだ。
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