血液型による性格判断?
ヒューマンスキル研究センター 代表取締役  細川 政宏
      血液型の性格判断って本当?
 私の血液型はA型なんです。そうすると、質問した相手は、「やはり・・・」と納得したように大きく頷きます。私は、どういうことかわからないものですから。「それってどういうこと?」と聞き返します。すると、「公務員タイプ」と一言。「たしかにオレ、公務員やってたよ」と付け加えると、相手はもう大喜びです。
「几帳面なタイプで、慎重、完全主義者で、真面目を絵に描いたような・・・・」
「オレって、そんなにつまらない人間かな? それに、8年前に公務員って耐えられなくて辞めちゃったけど」

      歴史があるんですね
 昭和2年(1927)、東京女子高等師範学校教授で教育学者の古川竹二が「日本心理学会」で「血液型気質相関説」を発表した。古川は、友人、勤務先の職員、生徒、卒業生等61名を被験者として、積極性と消極性についての気質と血液型の関係を検討し、A、AB型と消極性、O、B型と積極性の相関が高いことを結論づけた。昭和7年(1932)には三省堂から「血液型と気質」を発表し、気質を積極、消極の2分法から4タイプに拡大した。

      なんだ否定されていたのか

 その後、昭和5年(1930)頃には古川の考えを踏まえた研究が続々と発表された。しかし、昭和7年(1932)の長崎医科大学、昭和8年(1933)の岡山医科大学で行われた「日本法医学会」総会において論争が起こり、その後、誌上での論争も続いたが、昭和12年(1937)には論争に決着がついた。古川の説は学会という公共の場で完全に否定されたのである。

     どうして流行っているの?
 東大工学部出身で大宅壮一門下の作家、能見正比古が、古川の「血液型と気質」を焼き直したと思われる「血液型でわかる相性」を昭和46年(1971)に青春出版社から発表した。その後、続々と同様の著作が出版され1980年代にブームを巻き起こし現在に至っている。
 最近の研究者(社会心理学者)の関心は、血液型による性格の決めつけをステレオタイプと考え、そのステレオタイプを生み出す要因やその弊害である差別の実態の解明に移っている。
 けっして新しい話題ではありませんが、学生達によく「先生は何型?」と聞かれるものですから、あらためてとりあげてみました。詳しくは参考文献をご覧ください。
参考文献 「現代のエスプリ No.324」至文堂
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