盗聴問題で,86年当時,共産党の緒方靖夫氏宅に盗聴器が仕掛けられる事件が起こった。警察は犯人を割り出したが起訴をしなかった。「26万人の警察組織と2千人弱の検察組織の力関係で,溝が埋められなくなるということで,お灸をすえる程度で終わってしまった。警察は今でも「盗聴の事実はない」と言い張っているのが現実。 その後(89年)盗聴法が成立。 盗聴法に反対する集会で発言した寺西裁判官が処分された。「盗聴法反対の発言は出来ない」として発言したが,「言外に……」として処分を受けた。これは,私の内申書問題での「口に出すな,文にするな」ということからエスカレートして,「心の中で思ってもいけないよ」ということ。 個人情報保護法は,5千件以上の情報を扱い,かつ継続反復している者を個人情報取り扱い事業者としている。政府は,報道,著述業,学会,宗教団体,政治団体5分野の活動は除くとしているが,国会でその基準を問うと答弁が猫の目のように変わる。カーナビは電話番号から検索出来るが,電話や住所や氏名の個人情報が入っているから。それが3500万件〜4000万件入っている。5千件以上の情報というのは誰でもが対象になるということ。 田中真紀子氏の娘に関する報道で,週刊誌が「回収処分」となったことを初めとして,橋本派の「1億円献金問題……」批判も出来なくなってしまう。 教育現場においては,君が代を歌っている教職員を県議がビデオで撮るということが行われている。口パクも処分の対象にしようとしている。 6月1日の佐世保小6女児事件で,長崎家裁が9月15日加害者の少女を栃木の児童自立支援施設に送致する保護処分を下した。 少女の小学校はミニバスケットが強く,被害者の少女も加害者の少女もミニバスチームのメンバーだった。しかし続けるのには親の送迎が必要。はじめから送ってもらったり出来なくて,入れない子供が出てくる。5年生になって被害者の少女も加害者の少女も辞めている。加害者の少女のホームページの日記には「暇,暇,暇・・・」と綴られていた。その事が,今回の事件とつながりがあったのではないだろうか。 今社会の格差が広がってきている。佐世保の少女が保護された児童自立支援施設は子供達が虐待から保護される施設で,その施設の状況は,あまりにも古く,網戸もない,勉強机は3人に1つくらいしかない。進学も出来ない。進学を言い出す子もいないという状況。機会の平等の社会のはずが,そうではない状況が広がっている。 佐世保事件の少女達の小学校では,中高一貫のエリート校が近くに出来た。このことが加害者の少女の心に影を落としたのではないか。この学校が出来て,少女の学校からも受験して5人が受かった。落ちた子供達はダメージを受けている。「合格した者は勝者であり,不合格で一般の中学に進学する者は敗者」。一握りのハイパーエリートを育て,その他は「勉強しなくていいよ」といわれ始めている。佐世保の事件もこういう社会格差の問題が反映しているのではないだろうか。 国家の暴走に歯止めをかけてるのが憲法のはず。今はまだ改憲されていないが,実際には憲法で保障している基本的人権が干渉されている。すでに,憲法が既に形骸化されているということもあるが,実際に改憲されてしまっていたら,イラクのみならず,アフガンにも出兵し,日本も殺し殺される側にすでになっていたはず。 憲法で財産権が謳われているが,小泉首相は郵政の民営化をやろうとしている。年金,郵貯,簡保は財政投融資で地方自治体や特殊法人などに融資してきたが,今年の年金国会で「年金積立金管理運用独立行政法人」が成立し官僚支配が強まる仕組みを作ってしまった。今後も米国債を買い続ける。国民年金・厚生年金あわせて147兆円にのぼるという年金積立金である国民の財産を収奪して,大変な事態になってしまう。 憲法改悪の問題も,人々に入っていく内容を持つ必要がある。憲法と繋ぐ言葉を持たなければならない。年金問題などの生活に密着した問題の暴露が,憲法改悪反対の広がりをつくることが出来る。 保坂展人さんのHPへのリンク 年金のウソ 隠される積立金147兆円 [2004-06-02刊行] 著者●保坂展人 定価●1,200円+税 ISBN4-939015-66-1 C0031 四六判・並製/112ページ/ 印刷・製本●株式会社シナノ ブックデザイン●沢辺均 次世代政治家 活用法 [2004-06-02刊行] 著者●保坂展人 定価●1,300円(本体) 四六判・並製/230ページ/ ●リヨン社発行(二見書房発売) |