診断基準



過敏性腸症候群の診断は下記の2つが代表的である。



RomeV:世界的に認められているIBSの診断基準。2006年4月に以前のRomeUからRomeVへ改訂された。

腹痛あるいは腹部不快感が最近3ヶ月の中の1ヵ月につき、少なくとも3日以上を占め、下記の2項目以上の特徴を示すもの。
(1)それらの症状が排便により軽快する。
(2)症状の発現が排便頻度の変化を伴う。
(3)症状の発現が便性状(外観)の変化を伴う。

 *少なくとも診断の6ヶ月以上前に症状が出現し、最近3ヶ月間は基準を満たす必要がある。
 **腹部不快感とは、腹痛とはいえない不愉快な感覚を指す。病態生理研究や臨床研究では、腹痛あるいは腹部不快感が1週間につき少なくとも2日以上を占める者が対象として望ましい。


RomeVのIBS分類

1、便秘型IBS:硬便または兎糞状便が便形状の25%以上、かつ、軟便または水様便が便形状の25%未満。
2、下痢型IBS:軟便または水様便が便形状の25%以上、かつ、硬便または兎糞状便が便形状の25%未満。
3、混合型IBS:硬便または兎糞状便が便形状の25%以上、かつ、軟便または水様便が便形状の25%以上。
4、分類不能型IBS:便形状の異常が不十分であって、上記いずれにも当てはまらないもの
 *便形状は下痢止め、下剤を用いない時の糞便で評価する。
                  


BMW基準:日本の実情に即したものとしてBowel Motility Workshop Clubの頭文字をとって名付けられた。


下記の(1)、(2)の症状が1ヶ月以上繰り返す。また、病状を説明する器質的疾患がない。
(1)腹痛、腹部不快感あるいは腹部膨満感がある。
(2)便通異常(下痢、便秘あるいは交替性便通異常)がある。
便通異常には以下の1項目を含む。
1)排便回数の変化
2)便性状の変化(硬便〜兎糞/軟便〜水様便)
なお器質的疾患除外のためには、原則として下記の検査を行う。
1)尿、糞便、血液一般検査
2)注腸造影または大腸内視鏡
                              Ther Res 16: 4051,1995

最後の注腸や大腸内視鏡をすべての患者に行うのは現実的ではないので、下記のリスクファクターを有する場合に行うというガイドラインが提案されている。
リスクファクター
1、異常な身体所見
2、6ヶ月以内の予期しない体重減少(3キロ)
3、大腸器質的疾患の既往歴and/or家族歴
4、50歳以上での発症または患者
5、夜間の腹痛(腹痛による目覚め)
6、発熱、関節痛
7、粘血便
8、患者が消化管精密検査を希望する場合

                              Ther Res 20: 52-71,1999

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